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こんにちは。兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
虫歯を治したり、子どもの矯正をしたりしていますが、実は日々の診療の中でとても多いご相談のひとつが——
「歯ぐきから血が出るんです」というものです。
歯を磨いていたら、歯ブラシに血がついた。
うがいをしたら、なんとなく赤くなっていた。
そんな経験、ありませんか?
「まあ、たいしたことないでしょ」と放っておく方も多いのですが、実はそれ、歯周病の始まりかもしれません。
今回は、歯ぐきから血が出る原因と、その対処法を、やさしくわかりやすくお話しします。
歯ぐきから血が出る最大の理由は、「歯ぐきに炎症が起きているから」です。
この炎症の多くは、**プラーク(歯垢)**が原因です。
歯と歯ぐきの境目に、歯ブラシの毛先が届かず、プラークがたまると、その中の細菌が歯ぐきを刺激します。
すると、歯ぐきが赤く腫れて、少しの刺激でも出血しやすくなるのです。
この段階を「歯肉炎」と呼びます。
歯ぐきに炎症があるものの、まだ骨は溶けていない状態。
しっかりケアすれば、元の健康な歯ぐきに戻る可能性が高いです。
しかし、この「歯肉炎」をそのまま放っておくと、炎症が深い部分まで広がっていきます。
やがて、歯を支える骨(歯槽骨)が溶け始め、歯がグラグラしてくるのです。
この状態が「歯周炎」=一般的に言う歯周病です。
歯周病が進むと、次のような症状が出てきます。
朝起きると、口の中がねばつく
歯ぐきが下がって、歯が長く見える
歯が動く、噛みにくい
口臭が強くなる
そして、怖いのは——
痛みがほとんどないまま進行するということ。
気づいたときには、歯を支える骨が大きく減っていて、「抜歯が必要になるケース」も珍しくありません。
実は、健康な歯ぐきは、どんなに強く磨いても出血しません。
つまり、「血が出る」というのは、もうすでに何かしらのトラブルが起こっている証拠。
「最近、歯ブラシのときに血がつくな…」
「フロスをすると痛いし、血が出る…」
そんなときこそ、歯科でのチェックが必要です。
「でも痛くないし、まだ大丈夫」と放置してしまうと、気づかないうちに歯周ポケットが深くなっていきます。
ポケットの奥にたまった汚れは、もう歯ブラシでは取り除けません。
そこからさらに細菌が増え、炎症が強くなって、
→ 骨が減る
→ 歯が動く
→ 最後には歯が抜けてしまう…
という流れに進んでいくのです。
歯周病は、「日本人が歯を失う原因の第1位」。
しかも、30代・40代でもすでに軽度の歯周病がある方が多いのが現実です。
では、「歯ぐきから血が出る」ときにどうすればいいのでしょうか?
ポイントは3つあります。
「血が出るから、磨かないようにしよう…」
そう思ってしまう方も多いのですが、実は逆効果。
汚れをそのままにしてしまうと、炎症が悪化して、さらに出血が増えてしまいます。
大切なのは、「やさしく、でもしっかり」磨くこと。
毛先の柔らかい歯ブラシを使って、歯と歯ぐきの境目をなでるように磨きましょう。
歯と歯の間は、歯ブラシだけでは約40%の汚れが残るといわれています。
そこにプラークがたまると、歯ぐきが炎症を起こしやすくなります。
フロスや歯間ブラシを使うことで、細菌のすみかをしっかり除去できます。
「血が出るから怖い」という方も多いですが、使い続けることで徐々に出血は減っていきますよ。
自宅でのケアには限界があります。
特に、歯石(硬くなった汚れ)は自分では取れません。
歯科医院では、専用の器具で歯石を除去し、歯ぐきをきれいな状態にリセットします。
その上で、正しいブラッシング方法をお伝えしますので、「家での磨き方が変わった」と感じる方も多いです。
歯ぐきから血が出る原因の多くは歯周病ですが、それ以外のケースもあります。
ホルモンバランスの変化(思春期・妊娠中など)
ビタミンC不足
全身疾患(糖尿病・血液疾患など)
強すぎるブラッシング圧
特に妊婦さんは、ホルモンの影響で歯ぐきが腫れやすく、出血しやすくなります。
「妊娠性歯肉炎」と呼ばれるもので、放置すると出産後も歯周病が進むことがあります。
体調に合わせたケアを歯科で相談するのがおすすめです。
一時的に血が止まったからといって、油断は禁物です。
一見きれいに見えても、ポケットの奥で炎症がくすぶっていることがあります。
「出血がなくなった」ではなく、
「歯ぐきの色がピンクで引き締まっている」
「口の中がスッキリしている」
そんな状態を目指しましょう。
歯ぐきから血が出るのは、体が「助けて!」と出しているサイン。
その声を見逃さず、早めに歯科を受診してほしいと思います。
そして、歯周病は「予防できる病気」です。
毎日のセルフケア+定期的なプロのクリーニングで、健康な歯ぐきを取り戻すことができます。
しらやま歯科クリニックでは、痛みの少ないクリーニングと、やさしいブラッシング指導を心がけています。
「最近、歯ぐきが気になる」「血が出るけど原因がわからない」——
そんなときは、どうぞお気軽にご相談くださいね。
次回の第10弾は、
👉「歯がグラグラする…それ、放っておくと危険です!」