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こんにちは、白山です!
宝塚市の隣、西宮市仁川駅の近くで歯医者をしています。
子どもとお母さんの歯を治したり、地域の皆さんの歯を予防するためにメンテナンスや矯正をしたりしております!
さて今回は歯の【遺伝】の話。
よくお母さんたちから、「歯の強さって遺伝するんですか?」や「虫歯になりやすさって遺伝するんですか?」と聞かれます。
自分が虫歯など、歯のトラブルで悩んだ経験がある人ほど、子供にはこの苦しみを遺伝させたくない!と思うのは当然のことですので、質問したい気持ちは痛いほどわかります。
しかし、歯並びは遺伝しがちなことはわかってきていますが、それ以外のことは完全に遺伝に関わるかは、分からないことが多いです。
しかしそんな答えでは納得できないと思うので(笑)、ある程度分かっていることや今後どうしたらいいのかについて記事にまとめたいと思います。
一番遺伝的な話で言われているのは、細菌の話です。
例えば歯周病。
これらの細菌が住みやすいお口の中の環境が遺伝したり、親から子へと細菌感染が起こったりすることは十分考えられます。
次に虫歯。
虫歯については、子は親と同じような食生活や生活環境になりやすいです。
結果、親に似て虫歯になりやすいという状態につながると考えられています。
口移しや同じスプーンを使うことで、細菌が大人から子供に移ってしまうという話は、今ではスタンダードですね。
ではもう少し掘り下げながら、遺伝するものしないものを書いていこうと思います。
遺伝するもの
1)歯の性質
実際に歯の性質が強い方は存在します。
しかし実際に診療室でお見かけするのは、親子で歯の弱い方で、その方たちのほうが遺伝要素が強いです。
エナメル質や象牙質の厚さや質、こういったものが遺伝しています。
2)噛み合わせ、歯並び、鼻炎などの体質
あごの大きさや歯の大きさは遺伝要素が強いため、結果的に歯並びやかみ合わせはかなり似てきます。
また、鼻炎などがあると、お口での呼吸(口呼吸)となり、口の中が乾燥しやすくなることで、虫歯にになりやすくなる原因となります。
3)唾液の性質
唾液の性質は年齢で変化していく部分が大きいのですが、遺伝も多少関係ありそうです。
唾液の量が少なく、さらに粘ついていると唾液の自浄作用(何もしなくても歯の清潔が保たれるという作用)が減り、虫歯になりやすくなります。
遺伝ではないもの(家庭環境によるもの)
1)生活環境
一緒に生活している以上、食べ物の好みや選択は、家庭によって大きく異なり、また家族で似てきます。
ご両親が飴などをよく食べる、間食が多い、お茶やお水でなくジュースが多い生活だと、お子さんも似てくる結果、虫歯が増えてきます。
小さいお子さんの場合だと、もともと生まれ持った歯が弱さより、良くない生活習慣によるものの方が、より口腔の状態を悪化させます。
2)虫歯菌の性質
虫歯菌は家族内で伝播する(伝わる)と言われています。
お子さんに伝わる約半分が母親から、20~30%が父親からと言われています。
菌の種類や組み合わせによっても、虫歯になりやすい部位などが変わっていくと言われています。
親子ですから似てくるものは多いのですが、環境の因子が多く、ある程度自分でコントロールできます。
その証拠に、オーストラリアでは、先住民族のアボリジニの方々は砂糖の無い、原始的な生活をしている時代はほぼ虫歯がありませんでした。
しかし、西洋式生活と砂糖の入った食生活になってからは、虫歯が非常に増えたという歴史があります。
つまり、遺伝よりも環境の方が虫歯への影響力が大きいということですね。
以上の理由から、
絶対に虫歯にならないとは言い切れませんが、虫歯になりにくい環境を作ることができます。
ご自分やお子さんのリスクを把握しながら、そういった生活を目指していくことをおススメします。