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こんにちは。
兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしているしらやま歯科クリニックの白山です。
虫歯を治したり、子供の歯の矯正をしたりしています。
さて、今回は舌や口の中の粘膜にできる病気のはなし。
ある日、歯ぐきや舌、頬の内側などに「白い斑点」や「こすっても取れない白い膜」を見つけて、心配になったことはありませんか?
「これってカンジダ?」「もしかして口内炎?」
いえ、それはもしかすると「白板症(はくばんしょう)」かもしれません。
白板症は、初期の段階では痛みなどの自覚症状がほとんどないため、気づきにくい口腔内の病変の一つですが、放置してしまうと非常に危険です。なぜなら、**がん(口腔がん)へと進行する可能性がある「前がん病変」**だからです。
この記事では、白板症とは何か、原因や見分け方、治療方法、そして予防策について、わかりやすくご紹介します。
**白板症(leukoplakia:ルーコプレーキア)とは、口の中の粘膜にこすっても取れない白い斑(はん)**ができる状態を指します。
この白い病変は、口腔がんなどの悪性疾患と異なり、初期はほとんど症状がありません。そのため、発見が遅れるケースも少なくありません。
世界保健機関(WHO)は、白板症を以下のように定義しています:
「他の病気で説明できない、口腔粘膜に見られる白色の角化性病変」
つまり、明確な原因がなく、こすっても取れない白色の病変が長期間持続している場合に、白板症と診断されます。
白板症は口の中のどこにでもできますが、特に多い部位は以下の通りです。
舌の側面(舌縁)
頬の内側
歯ぐき(歯肉)
口蓋(上あご)
口唇の内側
とくに舌の側面にできた白板症はがん化しやすいとされています。早期発見・早期治療がとても大切です。
白板症には、はっきりとした原因がわからないケースもありますが、多くの場合、以下のような慢性的な刺激や生活習慣が関係しています。
喫煙(紙巻きたばこ・加熱式・電子たばこ含む)
タバコの有害物質が口腔粘膜を刺激し、角化(硬くなる)を促進します。
過度な飲酒
アルコールによる粘膜の乾燥や刺激もリスク要因となります。
不適合な入れ歯や被せ物
粘膜への慢性的な機械的刺激が、白板症を引き起こすことがあります。
頬を噛む癖や歯ぎしり
舌や頬の同じ場所に継続的な刺激が加わると、粘膜が異常を起こします。
口腔内の不衛生・慢性的な炎症
ビタミンAや鉄分などの栄養不足
白板症の典型的な見た目は、「白く、少し盛り上がって硬い病変」です。
表面は平坦またはやや凸凹
色は白~灰白色
こすっても取れない(カンジダ性口内炎との違い)
初期は痛みなし、進行するとピリピリすることも
舌や頬に1〜2cm程度の斑点が多い
見た目だけでは判断が難しい場合も多いため、専門的な検査が必要になります。
白板症は「前がん病変」とされており、すべてががんになるわけではありませんが、一部は口腔がんへと進行する可能性があります。
特に、次のようなタイプは要注意です:
びらん性白板症(表面がただれている)
結節性白板症(小さな隆起がある)
紅板症との混在(赤く変色している部分がある)
研究によれば、白板症の約1〜3%程度ががん化すると報告されていますが、特定の部位(舌縁・口底など)では、がん化率が高くなる傾向があります。
歯科医院では以下のような方法で診断を進めます。
まずは、見た目や場所、大きさ、触ったときの硬さなどを確認します。
一時的な炎症や外傷によるものと区別するため、一定期間観察を行うこともあります。
がんの疑いがある場合は、白板症の一部を採取して病理検査を行い、がん細胞や異形成(がんの前段階の細胞の変化)の有無を調べます。
白板症の治療法は、病変の程度や悪性化のリスクによって異なります。
禁煙・禁酒
入れ歯や詰め物の調整
歯ぎしり対策(マウスピース)
口腔清掃の改善
原因となる刺激を取り除くだけで、白板症が改善・消失することもあります。
がん化のリスクが低い場合は、定期的な診察で変化をチェックします(3ヶ月〜6ヶ月に一度の観察)。
病変が大きい
病理検査で異形成あり
がんの可能性が高い
このような場合には、レーザーや外科手術で白板症を切除します。
白板症を予防するには、日常生活の中で粘膜への慢性的な刺激を避けることが大切です。
禁煙・節酒:最も重要な予防策
正しい歯のケア:清潔な口腔内を保つ
入れ歯や被せ物の点検:違和感があれば早めに調整
頬や舌を噛む癖を治す:無意識の習慣に注意
バランスの良い食事:粘膜の健康を守るビタミン補給
定期検診を受ける:白板症の早期発見・早期治療
白板症の特徴 | 内容 |
---|---|
見た目 | こすっても取れない白い斑点 |
自覚症状 | 初期はなし。進行で痛みが出ることも |
原因 | 喫煙、慢性刺激、不適合な入れ歯など |
危険性 | 一部は口腔がんに進行する |
治療 | 刺激の除去、外科的切除、定期観察 |
白板症は、日常生活のちょっとした習慣の積み重ねから生じることが多い病変です。
しかし、軽く見て放置すると、取り返しのつかない状態になる可能性もあります。
「白いものが取れない」「最近、同じ場所に白斑がある」など、気になる症状があれば、早めに歯科を受診してください。
当院では、白板症の診断・経過観察・必要に応じた専門医の紹介まで対応しております。
西宮市仁川町エリアで、口腔内の変化に不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。