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しらやま歯科クリニック

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高齢者の方が特に気を付けなければならない、口の中の病気

こんにちは。

兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。

虫歯を治したり、子供の歯の矯正をしたりしています。

さて、今回は高齢者の方にとって、とても大切な話になります。

年齢を重ねるにつれて、体のさまざまな部分に変化が起きるのと同様に、「お口の中」も確実に変わっていきます。特に高齢者の方にとって、口腔の健康は全身の健康と密接に関係しているため、口の中の病気には早めに気づき、適切な対処を行うことが重要です。

この記事では、高齢者の方が特に注意すべき「お口の病気」について、原因や症状、予防・対策までわかりやすく解説します。


◆ 高齢になると、なぜ口の病気が増えるの?

まずは、なぜ高齢者が口腔トラブルに悩まされやすいのか、主な理由を見てみましょう。

  • 唾液の分泌量が減る(加齢や薬の副作用)

  • 噛む力・飲み込む力の低下

  • 免疫力の低下

  • 義歯や残存歯の管理不足

  • 慢性疾患による口腔環境の悪化

  • セルフケアが不十分になりやすい

これらの要因により、口腔内の自浄作用が落ち、細菌が増えやすくなるため、さまざまな病気のリスクが高まります。


◆ 高齢者が注意すべき口の中の病気5選

① 歯周病(ししゅうびょう)

高齢者に最も多い口腔疾患のひとつです。

〈主な症状〉

  • 歯ぐきからの出血

  • 歯ぐきの腫れ・痛み

  • 口臭

  • 歯がグラグラする

〈問題点〉
歯周病は慢性疾患で、自覚症状が少ないまま進行するのが特徴です。放置すると歯を失うだけでなく、糖尿病・心疾患・誤嚥性肺炎との関連もあります。

〈予防策〉

  • 定期的な歯石除去・クリーニング

  • 丁寧な歯磨き・デンタルフロスの使用

  • プロによる口腔ケア(訪問歯科も可)


② 口腔乾燥症(ドライマウス)

高齢者に多いトラブルのひとつで、唾液の分泌量が減少することによって起こる症状です。

〈主な症状〉

  • 口の中がネバネバする

  • 舌や頬の内側がヒリヒリする

  • しゃべりにくい、飲み込みづらい

  • 味がわかりづらくなる

〈原因〉

  • 加齢による唾液腺の機能低下

  • 抗うつ薬・降圧薬などの副作用

  • ストレスや脱水

〈予防・対策〉

  • こまめな水分補給

  • 唾液腺マッサージ

  • 口腔保湿ジェルの使用

  • 必要に応じて歯科や内科での相談


③ 舌痛症(ぜっつうしょう)

口の中や舌に痛みやヒリヒリ感が出る病気です。見た目の異常がなく、原因が特定しにくい場合もあります。

〈主な症状〉

  • 舌の先や側面がしびれる・痛い

  • 味覚が変わったように感じる

  • 食べると楽になるが、空腹時に痛む

〈考えられる原因〉

  • 更年期以降のホルモンバランスの変化

  • 精神的ストレス・うつ状態

  • ビタミン不足(B群など)

〈対策〉

  • 内科や精神科との連携治療

  • 生活習慣の改善、ストレスケア

  • ビタミン補給や漢方の利用


④ 義歯性口内炎(入れ歯による炎症)

入れ歯を使用している高齢者の多くが悩まされる症状です。

〈主な症状〉

  • 入れ歯の当たる部分の歯ぐきが赤く腫れる

  • 痛み・かゆみ

  • 食事や会話のしづらさ

〈主な原因〉

  • 入れ歯の不適合(合っていない)

  • 入れ歯の不十分な清掃

  • 長時間の装着(寝るときもつけたまま)

〈予防・対策〉

  • 義歯の定期調整・修理

  • 毎日の入れ歯洗浄(義歯用ブラシ・洗浄剤)

  • 寝る前は必ず外す

  • 口腔内の洗浄・マッサージ


⑤ 口腔がん・白板症(前がん病変)

60歳以上の高齢者に多い病気のひとつに、口腔がんがあります。その前段階として「白板症(はくばんしょう)」という病変が現れることがあります。

〈白板症の特徴〉

  • 頬の内側・舌の横・歯ぐきに白い斑点や膜

  • 拭っても取れない

  • 自覚症状がほとんどない

〈口腔がんの症状〉

  • 口内のしこり・ただれ・出血

  • 舌や歯ぐきの違和感

  • 治らない口内炎

〈注意点〉
高齢者は免疫力が低く、がんの進行も早い場合があります。早期発見が命を守る鍵になります。

〈対策〉

  • 年に一度は歯科での視診・触診

  • 白い斑点を見つけたらすぐ受診

  • 喫煙・過度の飲酒の制限


◆ 口腔トラブルを放置するとどうなる?

高齢者の口の病気は、単なる「お口の問題」ではありません。以下のような深刻な影響を及ぼすこともあります。

  • 誤嚥性肺炎のリスク増加
     → 嚥下障害や口腔内細菌が関与

  • 栄養不良による筋力低下
     → 噛めない・飲み込めない → 食事量減少

  • 認知機能の低下
     → 噛む刺激が脳に伝わらないことで悪影響

  • 生活の質(QOL)の低下
     → 会話・笑顔・外出機会の減少

だからこそ、「口の健康」は命を守る医療のひとつとして捉える必要があるのです。


◆ 高齢者のお口の健康を守るために大切なこと

  1. 定期的な歯科受診
     → 年齢に関わらず、半年〜1年に1回のチェックを
     → 通院が困難な方は「訪問歯科」も活用可能

  2. 毎日の口腔ケアの徹底
     → 柔らかめの歯ブラシや入れ歯用ブラシの活用
     → 舌・口腔粘膜のケアも忘れずに

  3. 口の体操・嚥下訓練
     → パタカラ体操・唾液腺マッサージ・口輪筋の運動

  4. よく噛んで食べる習慣
     → 顎の筋力や唾液分泌の維持に効果的

  5. 家族・介護者の見守り
     → 小さな変化を見逃さないことが大切です


◆ 最後に:年齢を重ねても“口から元気に”

口は「食べる・話す・笑う」といった生活の楽しみを支える大切な器官です。高齢になっても、自分の歯や義歯で美味しく食事ができ、楽しく会話ができることは、心の健康にもつながります。

西宮市仁川町にあるしらやま歯科クリニックでは、地域の高齢者の方々に向けて、定期的な口腔ケアや訪問歯科診療を行っております。

「最近、噛みにくい」「入れ歯が合わない」「お口が乾きやすい」など、どんな小さなことでも構いません。気軽にご相談ください。

健康はお口から。
これからも“おいしく・楽しく・健やかに”毎日を送るために、一緒にお口の健康を守っていきましょう。

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