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しらやま歯科クリニック

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「噛むと痛いのは、歯にヒビが入っていたから。30代男性のケース」

こんにちは。兵庫県西宮市仁川町の「しらやま歯科クリニック」院長の白山です。

虫歯を治したり、子どもの矯正をしたりしています。


今回は、「噛むと痛いけど、虫歯じゃないんです」というお悩みで来院された、30代男性・Bさんのお話をご紹介します。


💬 Bさんの最初の訴え

「1週間くらい前から、右の奥歯で噛むと“ピキッ”と痛むんです」
Bさんは会社員の男性で、日々仕事が忙しく、パソコン作業や会議も多いとのこと。
痛みが出るのは食事のときだけで、何もしていないときは痛くない。冷たい水もしみない。鏡で見ても虫歯らしき黒い穴もない――。

「疲れのせいかなと思って放っていたんですが、だんだん痛みが強くなってきて…」と、不安そうに来院されました。


🔍 検査をしてみると…

まず、虫歯を疑ってレントゲンを撮りましたが、虫歯の影はなし。神経の炎症を示す所見もありません。
歯ぐきにも腫れはなく、歯周病も見られません。

「虫歯じゃないなら、なぜ噛むと痛いんだろう?」とBさん。

実際、こういった“噛むと痛いけど、虫歯じゃない”というケースは少なくありません。
そこで、光を当てて歯の表面を丁寧にチェックしていくと――

💡 歯の表面に、細いヒビ(クラック)が入っているのが見つかりました。

「Bさん、この線、見えますか? 歯に小さなひびが入っているんです」
そうお伝えすると、Bさんはびっくりされた様子でした。


⚡ 原因は「歯ぎしり」や「食いしばり」

Bさんに詳しくお話を伺うと、夜寝ている間に歯ぎしりをしている自覚があるとのこと。
「朝起きると、顎がだるい感じがするんです。たまに頭も重い感じで…」

この症状、実は典型的な**歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)**のサインです。

歯ぎしりは無意識に起きるため、本人は気づかないことが多いのですが、
・睡眠中に歯がこすれる音を家族に指摘される
・朝起きたときに顎が重い
・歯がすり減っている
といった特徴があります。

この「歯ぎしりの力」は非常に強く、**自分の体重以上の圧力(100kg以上)**が歯にかかることもあります。
その力が毎晩のようにかかると、歯の表面に小さなヒビが入り、
やがて噛んだときにピキッとした痛みが出るようになるのです。


🦷 治療の流れ

Bさんの場合、ヒビの深さは浅く、歯の神経までは到達していませんでした。
そのため、まずはヒビの部分を保護するように樹脂で補修し、
その上から被せ物で歯を補強することにしました。

さらに再発防止のため、夜間の歯ぎしり対策として**マウスピース(ナイトガード)**を作製。
就寝時に装着することで、歯にかかる力を分散させ、亀裂の進行を防ぎます。

治療後数日で、「あのピキッという痛みがなくなりました!」と笑顔で報告してくれました。
さらに数週間後には、
「マウスピースをつけて寝るようになってから、朝の顎の疲れもなくなったんですよ」と嬉しいコメント。

「歯ぎしりって、放っておくと怖いんですね」と、予防の大切さを実感されたようでした。


🧩 なぜ“噛むと痛いのに虫歯じゃない”のか?

Bさんのようなケースでは、原因が虫歯でない場合も多くあります。
主な原因は以下のようなものです。

① 歯のひび割れ(クラックトゥースシンドローム)

歯に細い亀裂が入り、噛んだときにその部分がわずかに開いて神経を刺激することで痛みが出ます。
初期のうちはレントゲンにも写らないため、見逃されやすいのが特徴です。

② 噛み合わせのズレ・強い食いしばり

仕事中や睡眠中に無意識で力が入ることで、一部の歯に過剰な負担がかかり、痛みが出ることがあります。

③ 歯根膜炎(歯の根の周りの炎症)

噛む力が強すぎると、歯を支える膜(歯根膜)が炎症を起こし、「押すと痛い」という症状が出ます。

④ 神経の炎症の初期段階

虫歯が深くなくても、強い力が繰り返しかかることで神経が刺激を受け、痛みを感じることがあります。

このように、「噛むと痛い=虫歯」とは限りません。
原因を正確に見極めるには、歯科医院での検査が不可欠です。


💡 放置するとどうなる?

ヒビが浅い段階であれば、Bさんのように補修や被せ物で治せますが、
もし放置してしまうと、亀裂が徐々に深くなり――

・歯の中の神経が死んでしまう
・歯の根まで割れて抜歯になる
・細菌が入り込み、膿がたまる

といった深刻な状態になることもあります。

「食べるときだけ痛いから様子を見よう」と思っているうちに、
歯を失ってしまうケースも少なくありません。


🦷 日常でできる予防法

歯ぎしりや食いしばりが疑われる方は、次のような対策がおすすめです。

  1. 寝る前にストレッチをする
     →首や肩の緊張をほぐすことで、睡眠中の噛みしめが減ります。

  2. 仕事中に上下の歯を離す意識を持つ
     →歯は本来、何もしていないときは上下が触れていません。「リラックス時は歯が離れている」が正解です。

  3. 定期的な歯科検診を受ける
     →小さなひびやかみ合わせの変化は、自分では気づきにくいため、プロのチェックが大切です。

  4. ナイトガードを活用する
     →歯ぎしりや食いしばりのダメージを減らす最も確実な方法です。


🌱 まとめ

Bさんのケースは、「噛むと痛いけど、虫歯じゃない」という典型的な歯のひび割れによるものでした。
虫歯ではないからと放置してしまうと、歯の中で亀裂が進み、最悪の場合は抜歯になることもあります。

「噛むと痛い」「歯が浮くような感じがする」「一部分だけ違和感がある」
――そんなときは、早めに歯科を受診してください。

しらやま歯科クリニックでは、拡大鏡やマイクロスコープを用いた細かい診断で、
原因を丁寧に突き止め、できる限り歯を残す治療を行っています。

歯の違和感を我慢せず、ぜひ一度ご相談ください。


兵庫県西宮市仁川町 しらやま歯科クリニック
地域に根ざし、皆さんの“噛める幸せ”を守ります。

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