歯が残っている方こそ注意!歯周病が全身に及ぼすリスク
こんにちは。西宮市仁川町のしらやま歯科クリニックです。
高齢者の口腔内で注意すべき病気の一つが歯周病です。
「歯が残っているから安心」と思われる方もいますが、歯周病は全身の健康に大きく影響することが分かっています。
◆実際のケース:77歳女性・Tさん
Tさんは部分入れ歯を使用しながら自分の歯も残っていました。
日常的な口腔ケアはあまり行っておらず、施設スタッフから「歯ぐきが赤く腫れている」と報告を受け当院で診察。
診断の結果、中程度の歯周病で歯周ポケットが深く、炎症が慢性的に続いていました。
歯周病菌は血流に入り込み、糖尿病や心血管疾患、肺炎のリスクを高めることが知られています。
◆歯周病と全身疾患の関係
- 糖尿病:炎症が血糖コントロールを悪化させる
- 心血管疾患:動脈硬化や心筋梗塞のリスク上昇
- 肺炎:誤嚥により口腔内細菌が肺に到達する
- 認知症:慢性的な炎症が脳機能低下に関与する可能性
◆日常でできる予防ポイント
- 毎日のブラッシング:歯垢や食べかすをしっかり落とす
- 歯間ブラシ・フロスの活用:歯と歯の間の歯垢を除去
- 入れ歯と口腔粘膜の清掃:部分入れ歯の場合、残っている歯と歯ぐきの間を丁寧に
- 定期的な歯科受診:歯周ポケットのチェック・歯石除去
- 生活習慣の見直し:食事・水分・喫煙・糖尿病管理も重要
◆ケアマネが観察すべきポイント
- 歯ぐきの腫れや出血の有無
- 口臭や咀嚼・嚥下の変化
- 入れ歯や残存歯の状態変化
- 全身疾患の影響(糖尿病の悪化、肺炎のリスク増)
◆訪問歯科でできるサポート
- 歯周ポケットの深さチェック・歯石除去
- 残存歯のブラッシング指導・入れ歯調整
- 口腔内の炎症管理と経過観察
- ケアマネや介護スタッフへの口腔衛生指導
◆まとめ
歯が残っている高齢者ほど、歯周病のリスク管理が重要です。
歯周病は口腔内だけでなく、全身の健康にも大きく影響します。
ケアマネジャーさんが日常の観察で異常を早期発見し、歯科と連携することで、
高齢者の生活の質(QOL)を維持し、誤嚥性肺炎や慢性疾患のリスクを下げることができます。
これで「介護の現場で役立つ!口腔ケア予防知識シリーズ」は完結です。
今回の内容を参考に、ケアマネジャーさんや介護スタッフと歯科が協力し、
高齢者の健康維持に役立てていただければ幸いです🦷✨
シリーズ全5回を通して、日常の観察・ケア・歯科連携の重要性が理解できる内容になっています。
高齢者の口腔健康を守る取り組みを、ぜひ現場で実践してみてください。
