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こんにちは。
宝塚市の隣、兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている白山です。
虫歯を治療したり、子供の歯を治したり、矯正したりしています。
さて、今回は【雑談のコツ ~質問編~】について書いていこうと思います。
きっちりとした医療人としての会話というものは当然ながら必要ですが、ちょっとした雑談も時には必要です。
ちまたでは、「雑談など邪道、医療人としてただ粛々と手技のレベルを上げるのみ」という職人歯科業界人があふれていますが、当然これは間違いです。
雑談は必要です。
出来ればする、とかいうレベルではありません。
なぜ必要なのかについては、別の記事でまるまる取り上げていますので、よかったら見てください。
雑談のコツはたくさんあるのですが、その中でも『質問力』というのがキーワードになることがあります。
つまり質問の仕方が上達すれば、雑談のレベルも上達するということです。
ここまでは一般的によく言われる話だと思います。
ここからが本題です。
いつも前置きが長くなり、申し訳ありません(笑)
医療関係者がよくやる質問の仕方の失敗例として、【問診のように質問しちゃう】というものがあります。
これは非常に残念。
この質問の仕方をしてしまうぐらいなら、雑談しないほうがいい、まであります。
どういうことか、例をあげて詳しく説明しますね。
医「田中さん、今年の夏はどこか行かれましたか?」
患「今年はコロナもあって、どこも結局いけなかったんですよね。毎年、実家の北海道に帰っていたので残念です…。」
医「そうなんですね。田中さんって兄弟はいらっしゃるんですか?」
患「あ、兄が一人います。結構離れていて、8歳上なんですよ。」
医「兄が一人ですか。はい、治療はこれで終わりですので、また次回よろしくお願いします。」
患「…」
これが、最悪の質問です。
文字に起こすとよりやばさが浮き彫りになりますね(笑)
全く会話になっていないことはお分かりでしょうか?
では患者さんの気持ちをこの会話に当て込みながら、もう一度見てみましょう?
医「田中さん、今年の夏はどこか行かれましたか?」
患「今年はコロナもあって、どこも結局いけなかったんですよね。毎年、実家の北海道に帰っていたので残念です…。」
医「そうなんですね。田中さんって兄弟はいらっしゃるんですか?」
患 (あれっ??兄弟の話??
さっきの北海道の話はどこに行ったの?あんまりおもしろくなかったのかな?
と、とりあえず兄弟の話題に移るか…。)
患「あ、兄が一人います。結構離れていて、8歳上なんですよ。(8歳も上だと珍しいでしょ!どうだ!私の鉄板の話題だ!)」
医「兄が一人ですか。はい、治療はこれで終わりですので、また次回よろしくお願いします。」
患「…(あー、多分このひと、一応雑談しているだけで、私に全く興味ないんだなー)」
かっこのなかをしっかりと見てほしいです。
おそらくあなたが患者さんなら、同じような気持ちになるのではないでしょうか?
雑談をして盛り上がらなかったので、プラマイ0ではないです。
相手に(自分に興味ないんだな…)と思わせているのですから、とんでもないマイナスです。
まだ沈黙で淡々と治療したほうがよかったかもしれません。
ではどのようにすればこのことを改善できるでしょうか?
答えは簡単です。
【問診の時から、問診のような質問をしないように気を付ける】
これです。
なんだか哲学的なワードになりましたね。
名言チックです(笑)
日頃、問診をされている方はこのように問診していませんか?
「どこが痛いですか?」
「右上の奥です」
「いつから痛いですか?」
「昨日の夜からです」
これ、冷静に考えると、会話になっていないことはお判りでしょうか?
もちろん緊急時は別ですよ?
痛くてどうしようもないとか、すぐ処置に移ったほうがいい場合はこのような問診がベストです。
ただし、時間に余裕のある場合は、
「どこが痛いですか?」
「右上です。」
「右上なんですね。では右でご飯を食べるのはしんどかったですよね?」
「そうなんですよ!」
「ちなみに痛くなったのはいつからですか?」
「昨日の夜からです。」
「ということは昨日の夜から、あまりご飯は食べれていないですか?」
「ゼリーとか、柔らかいものを中心に食べました。」
こういう問診をしましょう!
文字で見てもさっきとは全然違いますね。
これがひととひとの最低限の会話です。
歯科業界において、「接遇」とか「共感」とかいう言葉が大切だという風潮になって、かなりの年数がたちます。
こういう二文字をこぞって使う人が多いですが、僕的にはそもそも会話ができていない人が多いのではないかなと思います。
共感する前に、患者さんが言った言葉にきちんと反応して、その言葉を広げる練習をしましょう。