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お口ぽかんになる理由【第二回】

こんにちは。兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
虫歯を治したり、子どもの矯正をしたりしています。

最近、「うちの子、気づくといつも口が開いてるんです」というご相談を受けることがとても多くなりました。
写真を撮ると口が開いていたり、テレビを見ているときに唇が閉じていなかったり……。
いわゆる「お口ぽかん」と呼ばれる状態です。

実はこの「お口ぽかん」、ただのクセや見た目の問題ではありません。
放っておくと、歯並び・あごの成長・姿勢・健康にまで影響することがあるのです。

今日は、なぜお口ぽかんになるのか、そしてどんなことに気をつければよいのかをお話しします。


「お口ぽかん」ってどんな状態?

お口ぽかんとは、無意識のうちに口が開いてしまう状態のことです。
眠っているときだけでなく、起きているときも口が開いたままになっているお子さんが増えています。

「え? たまに開いてるくらいでそんなに悪いの?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、常に口が開いているということは、呼吸や筋肉の使い方がうまくいっていないサインなのです。

人間の体は本来、鼻で呼吸し、唇を軽く閉じてリラックスしているのが自然な状態。
それができていないとき、何らかの原因で口が開いてしまっていると考えられます。


️お口ぽかんになる主な原因

では、なぜ子どもが口を開けたままになってしまうのでしょうか。
原因は1つではなく、いくつかの要因が重なっていることが多いです。


① 鼻づまり・アレルギー性鼻炎

お口ぽかんの最も多い原因のひとつが、鼻で息をしにくいこと。
鼻が詰まると、自然と口で息をするようになります。

アレルギー性鼻炎、花粉症、副鼻腔炎などがあると、鼻呼吸がしにくく、慢性的に口が開いたままになることもあります。

さらに、鼻が詰まると夜のいびきや口呼吸も強くなり、睡眠の質が下がることも。
結果として日中の集中力低下や、姿勢の崩れにつながるケースもあるのです。


② 舌の位置が低い

舌は、本来「上あごの内側(口蓋)」にぴったりくっついているのが正しい位置です。
ところが、口呼吸や筋力の弱さによって舌が下がってしまうと、口が開きやすくなります。

舌が下にあると、あごが狭くなり、歯並びにも悪影響を及ぼします。
特に「前歯が閉じない」「出っ歯気味」といった歯並びのお子さんでは、舌の位置が関係していることが多いです。


③ 唇や頬の筋肉が弱い

唇を閉じるためには、**口輪筋(こうりんきん)**という筋肉が働きます。
この筋肉がうまく使えていないと、口を閉じているのがつらく感じてしまいます。

最近では、やわらかい食べ物が多い食生活や、長時間のスマホ・ゲームによる姿勢の乱れが影響して、
口周りの筋肉が発達しにくいお子さんが増えています。

口輪筋が弱いと、唇を閉じる力が不足し、**「閉じているつもりでも少し開いてしまう」**という状態になるのです。


④ 姿勢の悪さ

実は、口が開く原因のひとつに「姿勢」も関係しています。

背中が丸まり、頭が前に出るような姿勢(いわゆる猫背)になると、下あごが後ろに下がります。
すると、唇が自然に閉じにくくなり、口がぽかんと開きやすくなります。

長時間のスマホ・タブレット使用、椅子の高さが合っていないなど、日常生活の中の小さなことが積み重なって、お口ぽかんを助長することがあります。


⑤ 指しゃぶり・おしゃぶり・舌癖

幼児期の指しゃぶりやおしゃぶりの使いすぎも、歯や舌の位置に影響します。
また、「舌で前歯を押す」「飲み込むときに舌を突き出す」などの癖(舌癖)があると、口を閉じる筋肉とのバランスが崩れてしまいます。

これらが長く続くと、前歯が開いたり、口が閉じにくくなったりといった状態につながるのです。


お口ぽかんをそのままにすると?

「そのうち治るかも」と放っておくと、思わぬ影響が出ることがあります。

  • 虫歯や歯肉炎になりやすい(唾液が乾きやすいため)

  • いびきや口臭が強くなる

  • 出っ歯・開咬などの歯並び不良

  • 顔つきが変わる(面長・口元が出るなど)

  • 集中力の低下・疲れやすさ

このように、見た目だけでなく健康面にも関わるのが、お口ぽかんの怖いところです。
特に、あごの成長期である小児期には、放置しないことが大切です。


お口ぽかんを改善するためにできること

お口ぽかんは、意識と練習で改善できるケースが多くあります。
ここではご家庭でも取り入れやすい方法をご紹介します。


① 「あいうべ体操」で筋肉を鍛える

口を大きく「あ・い・う・べ」と動かす体操です。
口輪筋や舌の筋肉をバランスよく鍛え、鼻呼吸をしやすくします。

1日数回、1セット10回ほどを目安に行いましょう。
リズムよく笑いながらできるので、親子で楽しく続けるのがおすすめです。


② よく噛む食事を心がける

やわらかい食事ばかりだと、口周りの筋肉が育ちにくくなります。
噛み応えのある食材(根菜・海藻・お肉・りんごなど)を取り入れて、しっかり咀嚼する習慣をつけましょう。


③ 正しい姿勢を意識する

背筋を伸ばし、頭が前に出すぎない姿勢を意識しましょう。
食事や勉強のときは、足が床につく高さに椅子を調整することも大切です。


④ 鼻づまりの治療

鼻呼吸が難しい場合は、耳鼻科で原因を調べてもらいましょう。
アレルギーや扁桃肥大など、治療によって改善するケースも多くあります。


⑤ 歯科でのチェック

歯並びや噛み合わせ、舌の位置を確認し、必要に応じて小児矯正を行うこともあります。
矯正治療では、単に歯を並べるだけでなく、舌や唇の筋肉バランスを整えて「正しいお口の使い方」を育てることを重視します。


まとめ

お口ぽかんは、「口呼吸」「舌の位置」「姿勢」「筋肉」など、さまざまな要素が関係する複雑な問題です。
でも、早めに気づいて対処すれば、改善できることがほとんどです。

まずはご家庭で、
お子さんがテレビを見るときや本を読むときに、口が開いていないか
口呼吸をしていないか
をチェックしてみてください。

そして、気になるようなら、歯科や耳鼻科で相談してみましょう。

しらやま歯科クリニックでは、単に歯並びだけでなく、**「正しい呼吸とお口の成長」**を大切にしています。
小児矯正を通して、鼻呼吸が自然にできるお口づくりを一緒にサポートしています。

お子さんの「お口ぽかん」は、成長のチャンスでもあります。
今のうちに整えてあげることで、健康でバランスの取れた笑顔につながりますよ

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