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こんにちは。
兵庫県西宮市仁川町2ー4ー13で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
虫歯を治したり、こどもの矯正をしたりしています。
今回は歯科とは少し離れて、アレルギーに関して考えていきましょう。
人間の体には、ウイルスや細菌などの外敵から体を守る「免疫」という仕組みが備わっています。
異物の侵入(例:ウイルス、細菌、花粉)
免疫細胞が異物を認識
抗体や白血球が攻撃・排除
体が回復する(記憶もする)
このように、本来は「体にとって危険なもの」だけを見極めて攻撃する精密な仕組みですが、アレルギーでは無害なものに対しても攻撃してしまうのです。
アレルギー反応は、免疫細胞の一つである「IgE抗体」と「肥満細胞(マスト細胞)」の関係が大きく関わっています。
初めてアレルゲン(アレルギーの原因物質、例:花粉、卵、ダニなど)に触れると、一部の人ではその物質に対してIgE抗体が作られます。この抗体は、肥満細胞という免疫細胞の表面にくっつきます。
この段階ではまだ症状は出ません。
次に同じアレルゲンに触れると、すでに備えられていたIgE抗体がそれを感知し、肥満細胞がヒスタミンなどの化学物質を放出します。
この物質が、かゆみ・鼻水・咳・じんましんなどのアレルギー症状を引き起こします。
アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)は多岐にわたります。
分類 | 主なアレルゲン例 |
---|---|
吸入系 | 花粉、ハウスダスト、ダニ、カビ、動物の毛 |
食物系 | 卵、乳、小麦、そば、ピーナッツ、魚、甲殻類 |
接触系 | 金属、ゴム、化粧品、植物の樹液 |
昆虫・動物系 | ハチ、蚊、猫、犬 |
薬物系 | 抗生物質、解熱鎮痛薬など |
アレルギー体質はある程度遺伝します。両親のどちらかがアレルギーを持っていると、子どもも発症する確率が高くなります。
両親ともにアレルギー:60~80%の確率で遺伝
片親のみアレルギー:30~50%の確率
現代は、アレルゲンに触れる機会が増えている環境です。
花粉の飛散量の増加
食品添加物や加工食品の摂取
大気汚染(PM2.5、排気ガス)
室内でのダニやカビの増加
また、清潔すぎる生活環境が、免疫の正常な発達を妨げている可能性もあります。
これは「衛生仮説(Hygiene Hypothesis)」と呼ばれる理論です。
昔に比べて感染症が減り、清潔な環境で育つ子どもが増える一方、アレルギーは増加しています。これは、免疫が“敵”を見失い、無害なものに反応するようになったという考え方です。
感染症が少ない
抗菌グッズの使用
外遊びの減少
これらが、免疫の「訓練不足」を引き起こし、アレルギーが起きやすくなるとされています。
アレルギーにはいくつかのタイプがあります。主に以下のように分類されます。
最も一般的で、数分~数時間以内に症状が出るタイプ。
例:花粉症、食物アレルギー、じんましん、アナフィラキシー
主役:IgE抗体、ヒスタミン
数時間~数日後に症状が出る。
例:接触性皮膚炎(金属・化粧品)、薬剤性アレルギー
主役:T細胞(細胞性免疫)
完全に防ぐことは難しいですが、予防とコントロールは可能です。
花粉:外出時のマスク・眼鏡、洗濯物を部屋干し
食物:原因食品の除去、表示確認
ダニ:布団乾燥・掃除機、空気清浄機の活用
花粉症やダニアレルギーに対して、少しずつアレルゲンを体に慣らす治療法です。長期的に症状を軽減・治癒に近づける可能性があります。
十分な睡眠とバランスの取れた食事
ストレスの軽減(ストレスは免疫バランスを崩す)
適度な運動(腸内環境・免疫強化に役立つ)
アレルギー疾患は、現代病ともいわれます。社会やライフスタイルの変化が、アレルギーの増加を後押ししています。
食生活の欧米化(高脂肪・高糖質)
室内中心の生活(外での菌やウイルスとの接触機会減少)
高齢化による免疫の変化
特に食物アレルギーは、乳幼児の約10%が罹患しており、命に関わるアナフィラキシーへの備えも重要です。
アレルギーは、体の防御システムである免疫が過剰に反応することによって起こる病気です。
無害な物質に対して「敵」と誤認
IgE抗体がヒスタミンなどを放出
花粉症から命に関わるアナフィラキシーまで多様
アレルギー体質は遺伝と環境の相互作用によって形成されますが、適切な知識と予防で、日常生活の支障を最小限に抑えることが可能です。
今後は、腸内環境やマイクロバイオーム(微生物叢)の研究が進むことで、アレルギーの治療や予防がさらに進化していくと期待されています。