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こんにちは。
兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
虫歯を治したり、子供の歯の矯正をしたりしています。
さて、今回は歯並びの話。
歯科医院で「咬み合わせの調整」や「歯ぎしり・顎関節の不調」などの話をするときに、
歯科医師から「アンテリアガイダンスが大切なんですよ」と言われたことはありませんか?
でも、聞きなれない言葉なのでピンとこない、という方も多いと思います。
**アンテリアガイダンス(anterior guidance)**とは、簡単に言えば、
「上下の前歯が、スムーズな咀嚼(そしゃく)や顎の動きを導く役割を果たしている」
という考え方です。
今回は、この「アンテリアガイダンス」がなぜ大切なのか、
どんなトラブルと関係があるのかを、できるだけわかりやすく解説していきます。
私たちの歯は、上下28本(親知らずを除く)の歯が、バランスよく噛み合うことで、
食べ物をかみ砕く
顎の動きをスムーズにする
発音を安定させる
顔の形を整える
といった大切な役割を果たしています。
その中で、特に**前歯(切歯)と犬歯(けんし)は、噛むというよりも“ガイド役”**としての役割を持っているのです。
「アンテリア」は「前方(anterior)」、
「ガイダンス」は「導くこと(guidance)」。
つまり、**アンテリアガイダンスとは「前歯が顎の動きを導くこと」**を意味します。
私たちは食事中だけでなく、会話・無意識の噛みしめ・寝ている間の歯ぎしりなどで、
上下の歯を前後左右に動かすことがありますよね。
その時に、前歯が適切に接触して顎の動きをコントロールすることで、奥歯への過剰な負担を防ぐのです。
これが「アンテリアガイダンス」の考え方です。
顎を前にずらすとき、上下の前歯がスムーズにすれ違うように接触し、奥歯を離すように導きます。
これにより、奥歯が不必要にすり減ったり、壊れたりするのを防ぎます。
顎を横に動かすとき、犬歯(糸切り歯)が接触して動きをコントロールし、奥歯を守る役割を果たします。
これを「犬歯誘導(canine guidance)」とも呼び、アンテリアガイダンスの一部です。
もし前歯が適切に導く役割を果たしていない場合、
以下のようなトラブルが起きやすくなります。
前歯が噛み合わせをガイドしないと、奥歯に過剰な負荷がかかります。
その結果、
奥歯の詰め物が外れる
被せ物が壊れる
歯がすり減る・ひびが入る
歯が揺れる・抜ける
といったトラブルにつながることがあります。
アンテリアガイダンスが機能しないと、顎の関節にねじれや歪みが生じやすくなり、
顎関節症(あごのカクカク・痛み)
顔の左右非対称
首・肩のこり
などを引き起こすリスクもあります。
アンテリアガイダンスが不十分だと、顎の動きが制御されず、歯ぎしりの力が強くなってしまうケースがあります。
とくに睡眠中は無意識に強い力でこすり合わせてしまうため、歯や顎に大きな負担がかかります。
加齢や歯ぎしりによって、前歯が摩耗するとガイド機能が失われてしまいます。
出っ歯、受け口、開咬(上下の歯が前で噛み合わない)など、
歯並びが不正だとアンテリアガイダンスが成立しにくくなります。
1本でも前歯を失うと、ガイド機能に大きく影響します。
**「見た目のためだけではない」**ということがよくわかりますね。
治療後に前歯の高さが合っていない場合、アンテリアガイダンスのバランスが崩れてしまうこともあります。
まずは歯科医院で、咬み合わせのバランスや前歯のガイド機能を診断します。
必要に応じて、模型や咬合器(こうごうき)を用いた分析、CTや写真撮影などを行います。
歯の形を微調整する
詰め物・被せ物でバランスを整える
摩耗した前歯をセラミックなどで修復する
といった方法で、アンテリアガイダンスを再構築します。
前歯の位置や角度が不正な場合は、矯正治療で歯並びを改善することで、
より自然で正しいガイド機能を回復することができます。
私たちは普段、前歯を「見た目」や「かみ切るための歯」として認識しがちですが、
**実はお口全体の健康を支える“ガイド役”**でもあるのです。
「最近、奥歯の詰め物がよく外れる…」
「朝起きると顎がだるい…」
「前歯が少しすり減ってきた気がする…」
そんなサインがある方は、アンテリアガイダンスのバランスが乱れているかもしれません。
当院では、見た目だけでなく機能的にも美しいかみ合わせを重視し、
アンテリアガイダンスの視点からも丁寧な診査・診断を行っています。
「前歯の噛み合わせが気になる」
「顎が疲れる・音がする」
「歯ぎしりがひどいかも」など、
気になることがあればお気軽にご相談ください。
西宮市仁川町で、あなたの“噛める・守れる”口元を一緒につくっていきましょう。