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こんにちは。兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
前回は「なぜ介護に口腔ケアが必要なのか?」というお話をしました。
今回はその続きとして、
介護の現場やご家庭でできる**“日常の口腔ケア”のコツ**を、わかりやすくご紹介します。
「専門的なことは難しそう…」と思う方もいるかもしれません。
でも大丈夫です。少しの工夫で、お口の清潔も、そして笑顔も守れます。
口腔ケアというと「歯を磨くこと」と思いがちですが、
最初に大切なのは、“お口の中を観察すること”です。
たとえばこんな変化がないか、チェックしてみてください。
唇が乾いていないか
舌が白くなっていないか(舌苔)
頬の内側や歯ぐきに赤み・痛みがないか
食べかすや痰が残っていないか
これだけでも立派な口腔ケアの第一歩です。
小さな変化に気づくことで、誤嚥や感染のリスクを早めに防ぐことができます。
高齢の方の歯磨きで一番多いトラブルは、「強く磨きすぎて痛い」こと。
歯ぐきが弱っている方も多いので、力を入れず、やさしく磨くのが基本です。
歯ブラシは小さめ、毛先のやわらかいタイプを選びましょう
角度は歯ぐきに45度くらい
1本ずつ細かく、円を描くように動かします
寝たきりの方の場合は、上半身を少し起こして磨くと誤嚥を防げます。
歯ブラシが難しいときは、スポンジブラシやガーゼを使ってもOKです。
「完璧に磨こう」とせず、
“できる範囲で毎日続ける”ことが大切です。
入れ歯(義歯)は、歯と同じように毎日の清掃が必要です。
食後に外して流水で食べかすを落とし、
夜は専用ブラシでやさしく磨いて、義歯洗浄剤につけておきましょう。
また、
眠るときは外して保管
乾燥を防ぐため、清潔な水に浸ける
のがポイントです。
入れ歯の内側には細菌がたまりやすく、
口臭や口内炎、肺炎の原因にもなります。
清潔な入れ歯で、“気持ちよく食べられるお口”を守りましょう。
高齢の方は唾液が減り、口の中が乾燥しやすくなります。
乾燥すると、細菌が増えたり、食べ物が飲み込みにくくなったりします。
そこでおすすめなのが、保湿ケアです。
保湿ジェルやスプレーを使う
うがいで湿らせる
唇の乾燥にはワセリンなどを薄く塗る
「乾いているな」と思ったときに少し加えるだけで、
お口の環境がぐっと良くなります。
舌の上に白くついている汚れ(舌苔)は、細菌のすみかになります。
やさしくケアして、清潔に保ちましょう。
舌ブラシや柔らかい歯ブラシを使う
奥から手前へ“なでるように”動かす(ゴシゴシ禁止)
1日1回で十分
舌をきれいに保つことで、
食べ物の味がよくわかり、食欲が戻る方も多いです。
中には、口腔ケアを嫌がる方もいます。
そんなときは、無理せず、声かけから始めましょう。
「口の中をさっぱりさせましょうか?」
「一緒にうがいしてみましょう」
「気持ちよくなりますよ」
歯ブラシを見せながら説明すると、安心されることが多いです。
嫌がる理由の中には、「痛い」「怖い」「急に触られた」があります。
焦らず、信頼関係を大切にしながら行いましょう。
「どうしても磨けない」「入れ歯が合わない」「むせが多い」
そんなときは、我慢せずに歯科に相談してください。
しらやま歯科クリニックでは、
ご自宅や施設に伺って、歯科医師・歯科衛生士が専門的な口腔ケアを行います。
専用の機器での清掃
入れ歯の調整
飲み込みやすくする訓練
なども、その場で対応可能です。
毎日のケアを“頑張りすぎず”に続けるために、
プロと一緒に支えていくことも大切です。
口腔ケアは、特別な技術がなくてもできます。
歯ブラシを持つ手のやさしさや、
「今日も気持ちよかったね」という声かけが、
ご本人の安心と笑顔を生み出します。
毎日の食事や会話が少しでも楽しくなるように、
無理のない範囲で、続けてみてください。
しらやま歯科クリニックでは、
介護をする方・される方、どちらも笑顔になれるようにサポートしています。
🪥 次回予告(第3回)
「口腔機能低下症とは?見逃してはいけないサイン」
“食べにくい・むせやすい”の裏に隠れた口の機能低下について、やさしく解説します。