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こんにちは。兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
今回は、「噛むと痛い」という50代男性・Cさんのお話です。
「右下の奥歯で、噛むとズキッとするんです。でも、何もしていないと痛くないんです。」
Cさんは、そう言って少し困った表情で来院されました。
詳しく話を伺うと、**10年以上前に治療した被せ物(クラウン)**が入っている歯とのこと。
見た目には特に問題なさそうでしたが、噛むときの痛みがあるということは、
「歯の中」や「歯の根」になにかしらの異変が起きている可能性があります。
レントゲンを撮ってみると、被せ物の下に黒い影が。
これは、被せ物と歯の間にすき間ができて、そこから虫歯(=二次カリエス)が進行していたことを示しています。
被せ物は、年月が経つとセメント(接着剤)が劣化し、
わずかにすき間ができてしまうことがあります。
そこから細菌が入り込み、見えないところで虫歯が進んでいたのです。
虫歯が神経の近くまで進むと、炎症が歯の根の周りまで波及し、
**歯根膜炎(しこんまくえん)**という状態になります。
歯根膜とは、歯と骨の間にあるクッションのような組織。
ここが炎症を起こすと、
「噛んだときだけ痛い」「歯が浮いた感じがする」
といった症状が出るのが特徴です。
Cさんの痛みもまさにこの状態でした。
古い被せ物を外し、中の虫歯を丁寧に除去しました。
歯の神経はすでに炎症を起こしていたため、根の治療(根管治療)を行い、
その後、再びしっかりと密着する新しい被せ物を装着しました。
治療後、Cさんはこう言われました。
「まさか、10年前の被せ物が原因だったとは思いませんでした…。
噛むときの違和感がなくなって、食事が本当に楽になりました。」
被せ物は一度入れたら“永久”ではありません。
どんなに精密に作っても、時間とともに劣化し、
すき間や段差が生まれてくることがあります。
✅ 定期的なチェックで劣化の早期発見を
✅ 古い被せ物の下に虫歯がないか、レントゲンで確認を
✅ 「噛むと痛い」「浮いた感じ」は早めに相談を
これらを意識することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
「噛むと痛い」原因は、虫歯や歯ぐきだけとは限りません。
一見問題なさそうな古い被せ物の下で、静かにトラブルが進行していることもあります。
しらやま歯科クリニックでは、見えない部分も含めて丁寧に診査し、
再発を防ぐ治療を心がけています。
気になる違和感があれば、どうぞお気軽にご相談ください。