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こんにちは。兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、
しらやま歯科クリニックの白山です。
今回のテーマは、「歯を噛むと痛い原因が、実は歯周病のはじまりだった」というお話です。
患者さんの中には「虫歯もないのに、噛むとズキッと痛い」という方がよくいらっしゃいます。
その裏には、歯ぐきや骨に起こっている変化が隠れていることが多いのです。
今日は、40代女性の患者さん・Mさんの実体験をもとに、
“噛むと痛い”という症状の意外な原因について詳しくお話ししていきます。
Mさんは40代前半の会社員で、デスクワーク中心のお仕事をされています。
「右の奥歯で噛むとズキッと痛いんです。虫歯かと思って…」と来院されました。
見た目では虫歯はなし。冷たいものもしみません。
しかし、奥歯で硬いものを噛んだときだけ、痛みが出るとのこと。
「朝起きたときに、なんとなく歯が浮いた感じもします」
「最近、歯ぐきがムズムズして、歯磨きのときに血が出ることも…」
この言葉で、私はピンときました。
——もしかして、歯周病のはじまりかもしれない。
歯ぐきをチェックすると、奥歯の周囲に赤みと軽い腫れが見られました。
プローブという器具で歯周ポケットを測ると、4mm前後の深さ。
軽度の歯周病が進行しつつある状態でした。
さらに、指で軽く押すと、歯がわずかにグラグラ。
これは歯を支える「歯根膜」や「骨」に炎症が広がり、
噛む力がダイレクトに響くようになっている証拠です。
Mさんのような40代の女性では、ホルモンバランスの変化が歯ぐきに影響することがあります。
特に更年期前後は、エストロゲン(女性ホルモン)の減少により、
歯ぐきの血流や免疫バランスが崩れやすくなります。
その結果:
歯ぐきが腫れやすくなる
炎症が治りにくくなる
噛んだときに違和感が出る
といった症状が現れやすいのです。
Mさんも最近、「寝つきが悪くなった」「肩こりが増えた」と話されており、
おそらく更年期の影響も関係していたと考えられました。
さらに、Mさんは「最近仕事が忙しくて、つい歯を食いしばっている気がする」と話していました。
この“食いしばり(クレンチング)”が歯ぐきの炎症を悪化させることがあります。
ストレスがかかると、無意識に歯を噛みしめる人が多いのですが、
この力が歯周病で弱った歯を揺らし、
結果として「噛むと痛い」状態になるのです。
つまり、Mさんの痛みは──
「歯周病+食いしばり+ホルモン変化」
という、複数の要因が重なって起きていたというわけです。
まずは歯石除去と歯周ポケットのクリーニングを行いました。
歯ぐきの腫れを抑えるために、超音波スケーラーで丁寧に汚れを除去。
歯磨きの仕方も見直してもらいました。
強く当たっていた奥歯の接触を微調整し、
噛んだときの負担を減らしました。
就寝時の食いしばりを防ぐため、
透明のマウスピースを作成。
「朝起きたときの違和感が減った」とのこと。
ストレス緩和や軽い運動、バランスの良い食事も提案。
「心と体のケアが、歯ぐきにもつながる」ことをお伝えしました。
Mさんは「噛むと痛い」症状がほとんど消え、
「歯ぐきのムズムズ感もなくなりました」と笑顔に。
定期的なメンテナンスを続けているおかげで、
現在も歯ぐきは健康な状態をキープされています。
「噛むと痛い」という症状が出たとき、
多くの方は“虫歯”を疑いますが、実際には以下のような原因も考えられます。
| 原因 | 特徴 |
|---|---|
| 歯周病の初期 | 噛むと違和感・歯が浮いた感じがする |
| 噛み合わせの不調 | 一部の歯だけ強く当たる |
| 食いしばり・歯ぎしり | 朝起きたときに痛い・顎がだるい |
| 歯根膜炎 | 炎症により噛んだ時だけ痛む |
| クラックトゥース(歯のヒビ) | 虫歯なしで噛むとピキッと痛む |
歯周病や噛むときの痛みを防ぐには、
日常生活の中での意識とケアが重要です。
力を入れすぎない歯磨き
強く磨くと歯ぐきが下がり、炎症を悪化させます。
やわらかめの歯ブラシで、優しく細かく。
定期的な歯科検診
歯石除去とポケットチェックで、早期発見が可能。
食いしばりの意識化
日中に歯が当たっていたら、すぐ離す「リラックス法」を。
寝る前に軽いストレッチも効果的。
ホルモン変化に合わせた体調管理
睡眠・食事・運動のバランスを整え、
口腔内の免疫力を保ちましょう。
「歯を噛むと痛い」というサインは、
歯そのものだけでなく、歯ぐき・骨・体調の変化からも来ることがあります。
40代は、ホルモンバランスやストレス、生活習慣の変化が重なりやすい年代。
「少し違和感があるな」と感じたら、早めのチェックが大切です。
しらやま歯科クリニックでは、
噛むと痛い原因を一つずつ丁寧に探り、
再発しないようにサポートしています。
「虫歯じゃないのに、噛むと痛い」
「最近、歯ぐきが腫れぼったい」
そんなときは、ぜひ一度ご相談ください。