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こんにちは。
兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
虫歯を治したり、子どもの矯正をしたりしています。
〜ことばとお口の健康の関係〜
お子さんの発音が少し気になるとき、まず思い浮かぶのは耳鼻科や言語聴覚士さんかもしれません。
でも実は、歯科医院も発音のサポートに関わることが多いのをご存じでしょうか?
特に小児歯科では、歯並びやかみ合わせ、舌の動きがことばの発音に大きく影響するため、早めのチェックがとても大切です。
今回は「発音が心配なお子さんが歯医者でどんなことをするのか」、流れや家庭でのサポートも交えてご紹介します。
発音は、舌・唇・歯・顎の動きが連動して成り立っています。
そのため、歯の位置や形、舌の可動域が制限されると、特定の音が出しにくくなることがあります。
たとえば…
前歯の間にすき間がある → 「さ」「た」「な」などが空気もれしやすい
かみ合わせが深い・逆になっている → 舌の位置がずれて「し」「ち」などが不明瞭になる
舌小帯が短い → 舌先が上にあがらず「ら行」が苦手になる
こういった要因を、歯医者では細かくチェックしてくれます。
発音が心配で歯科を受診した場合、まずは問診と診察から始まります。
いつから発音が気になっているか
特定の音だけが苦手か、全体的に不明瞭か
家族や周囲から指摘されたことがあるか
授乳・離乳食の時期や食べ方に関する情報
歯の生え方・かみ合わせ
前歯や奥歯の位置
舌の長さや動き(舌小帯の状態)
唇やほほの筋肉の動き
口呼吸の有無
これらを見て、発音の問題が歯や口の構造的要因によるものか、機能的要因によるものかを判断します。
もし発音の問題が歯並びやかみ合わせによる場合、矯正治療が必要になることもあります。
特に、前歯の間に大きなすき間があったり、受け口(反対咬合)だったりすると、発音改善には歯列の修正が効果的です。
プレ矯正装置:就寝時や決まった時間に装着して顎の成長を促す
マウスピース型装置:歯列をやさしく誘導する
ワイヤー矯正:歯の位置を整える(成長期後半〜)
舌の裏側についている「舌小帯」が短いと、舌が上や前に動きにくくなります。
この場合、舌小帯切除術という簡単な処置で可動域を広げられることがあります。
処置後は舌のトレーニングを行い、動きを安定させます。
歯医者での発音サポートで多いのが**MFT(Myofunctional Therapy)**です。
これは、舌や唇、ほほの筋肉を正しく使えるようにするトレーニングのこと。
例:
舌を上あごに押し付ける練習
唇を閉じて鼻呼吸する練習
ストローや吹き戻しで口周りの筋力を高める
こうした訓練を通して、発音に必要な筋肉の使い方を身につけます。
歯科だけではなく、必要に応じて**言語聴覚士(ST)**と連携して本格的な発音訓練を行うこともあります。
歯科は口の構造改善を、言語聴覚士は音の出し方を専門に担当します。
歯科治療やトレーニングと並行して、おうちでもできることがあります。
読み聞かせや歌で正しい発音を耳から覚える
鏡を見ながら口の形を真似する練習
柔らかすぎない食べ物で噛む力を育てる
口をぽかんと開けないように鼻呼吸の習慣づけ
特に鼻呼吸は、発音だけでなく歯並びや顎の発達にも良い影響があります。
発音が心配なとき、歯医者は「口の形や機能」を整える専門家として頼れる存在です。
歯並び・舌の動き・口の使い方など、ことばの土台をつくる部分からサポートしてくれます。
早めに相談すれば、成長期の柔軟な時期に改善できる可能性が高まります。
気になるときは「発音が気になる」とはっきり伝えて受診してみましょう。