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しらやま歯科クリニック

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第1回:なぜ、介護に口腔ケアが必要なのか?

こんにちは。兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
今回は、介護の現場でとても大切な「口腔ケア」についてお話しします。

介護の仕事やご家族の介護をしていると、
「食事の介助」や「清拭」「服薬管理」など、やることが本当にたくさんあります。
その中で「口の中をきれいにすること」は、つい後回しになりがちですよね。

でも実は、口腔ケアこそが、介護の質を大きく左右するケアなのです。


■口腔ケアは「命を守るケア」

高齢になると、唾液が減り、飲み込む力や舌の動きが弱くなってきます。
すると、食べ物のカスや細菌が口の中にたまりやすくなります。

この細菌が、誤って気管に入ってしまうことで起きるのが、
「誤嚥(ごえん)性肺炎」です。

実は、この誤嚥性肺炎は高齢者の死亡原因の上位に入る病気です。
つまり、口をきれいに保つことが命を守ることにつながるのです。

「歯磨きなんて毎日の習慣」と思うかもしれません。
しかし、介護の場ではそれが“命を支える医療行為”にもなります。


■食べる力=生きる力

もうひとつ大切なのは、「口は食べる入り口」であるということ。
お口の中が汚れていたり、入れ歯が合わなかったりすると、
食事の時間がつらいものになってしまいます。

「最近、ご飯を残すようになった」
「柔らかいものしか食べなくなった」
そんなとき、原因は“口の中”にあるかもしれません。

しっかり噛んで、味わって、笑って食べる。
それができることは、高齢者の方の生きる喜びにつながります。


■口腔ケアで変わる「表情」と「会話」

お口のケアを続けていくと、ただ清潔になるだけではありません。
唇や舌の動きがよくなり、発音もはっきりしてきます。

以前、訪問診療で関わった方に、こんな変化がありました。
最初は食べるのも話すのも難しく、ほとんど笑わない方でした。
ところが、定期的な口腔ケアを続けていくうちに、
少しずつ表情がやわらかくなり、ある日こんな言葉を。

「先生、最近おしゃべりが楽しいねん」

その瞬間、私たちスタッフも胸が熱くなりました。
口のケアは、「会話」「笑顔」「人とのつながり」を取り戻すきっかけにもなります。


■口の中の健康は、全身の健康につながる

口の中の細菌は、歯や歯ぐきだけでなく、血管を通じて全身に影響します。
歯周病の菌は、糖尿病や心臓病、認知症の悪化にも関係していることがわかっています。

つまり、口を清潔に保つことで、
・風邪や肺炎になりにくくなる
・栄養をしっかり摂れる
・お薬の効き目も安定する

など、体全体の健康が守られるのです。


■介護の現場でできること

介護をしている方は、「歯医者に連れて行くのは大変」と感じることが多いと思います。
そんなときに頼ってほしいのが、訪問歯科です。

歯科医師や歯科衛生士がご自宅や施設に伺い、
・歯や入れ歯のチェック
・口腔ケアの方法指導
・必要な治療
を、その場で行うことができます。

特別な準備もいりません。
「最近むせが増えた」「入れ歯を外してばかりいる」
そんな小さな変化があれば、気軽に相談してみてください。


■まとめ:「口から、笑顔を守る」

介護の中での口腔ケアは、
単なる「清掃」ではなく、「その人の生活を支える大切なケア」です。

お口の健康を保つことで、
・誤嚥性肺炎を防ぐ
・食べる喜びを取り戻す
・会話や笑顔を増やす
そんな“生きる力”が生まれます。

しらやま歯科クリニックでは、
地域の皆さんが「口から元気に暮らせるように」お手伝いしています。

介護の現場でお口のケアに困ったときは、どうぞご相談ください。
一緒に「食べる」「笑う」「話す」喜びを守っていきましょう。


🪥 次回予告(第2回)
「介護職・家族ができる!日常の口腔ケア方法」
明日から実践できる、やさしいケアのコツをお伝えします。

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