こんにちは。

しらやま歯科クリニックの白山です。

兵庫県西宮市にガチョウで歯医者をしています。

さて、今回は歯周病のはなし。

歯周病治療と言えば、歯石取り。

その歯石取りの中でも、縁下歯石という歯石を除去する治療があります。

今回はその縁下歯石に対して考えていきましょう。

 

縁下歯石とは？正体と対処法について

縁下歯石（えんかしせき）とは、歯の歯茎に近い部分、すなわち歯肉の下にできる歯石のことを指します。

歯石は、歯垢（プラーク）が硬化してできたもので、一般的には歯の表面や歯と歯肉の境目に付着しますが、縁下歯石は特に歯茎の中に埋もれる形で発生します。

縁下歯石は、歯の健康に大きな影響を与えるため、早期に発見して適切な対処をすることが重要です。

この記事では、縁下歯石の正体とその対処法について詳しく説明します。

---

1. 縁下歯石の正体

1.1 歯石とは？

歯石は、歯の表面に付着した歯垢（プラーク）が硬化して、カルシウムやリンなどの成分と反応して石灰化したものです。

歯垢自体は食べ物のカスや細菌の塊であり、放置すると細菌が繁殖して歯周病を引き起こす原因となります。

歯垢は、歯磨きによって取り除くことができますが、取り切れなかった歯垢が長時間歯の表面に残ると、次第に硬化して歯石になります。

1.2 縁下歯石の特徴

歯石には「縁上歯石」と「縁下歯石」の2種類があります。

縁下歯石は、歯と歯茎の境目（歯肉縁）よりも下の部分、すなわち歯茎の中に位置している歯石です。

これに対して、縁上歯石は歯の表面に見える位置にあります。

縁下歯石は、通常は目で見ることができません。

歯茎の下に隠れているため、自己判断で確認することができず、専門的な診察や検査が必要です。

縁下歯石は、歯茎の下に存在するため、歯肉に直接触れ、歯周病を引き起こしやすく、炎症や歯周ポケットの形成を促進します。

1.3 縁下歯石が形成される原因

縁下歯石が形成される主な原因は、歯垢が歯肉の下に溜まり、その部分が硬化することです。

歯垢は、口の中の食べ物や飲み物に含まれる糖分や酸といった成分と反応し、特に歯茎の下に溜まりやすいです。

歯垢が溜まり、しっかりとブラシが届かない場所で細菌が繁殖すると、歯肉が炎症を起こし（歯周炎）、その周りの歯石が形成されます。

また、歯周病が進行すると、歯肉が下がり、歯周ポケットが深くなることで、より多くの歯垢や歯石が歯茎の下にたまりやすくなります。

---

2. 縁下歯石が引き起こす問題

縁下歯石は、歯や歯茎にさまざまな悪影響を及ぼすため、その取り除きが非常に重要です。

主に次のような問題を引き起こす可能性があります。

2.1 歯周病の進行

縁下歯石は、歯周病を引き起こす主な原因の一つです。

歯周病は、歯茎の炎症が進行する病気で、最初は歯茎の腫れや出血などの症状がありますが、進行すると歯の周りの骨が溶け、最終的には歯が抜けてしまうこともあります。

歯周病は歯垢や歯石によって引き起こされ、特に縁下歯石は、歯茎の中に埋まっているため、炎症を引き起こす細菌が直接歯の周囲の組織に影響を与えます。

2.2 歯茎の腫れと出血

縁下歯石が原因で歯茎が腫れたり、触れると出血したりすることがあります。

これは、歯周病が進行して歯茎が炎症を起こしているためです。

歯茎が腫れることで、歯肉が歯にうまく付着しなくなり、歯の周りに深い歯周ポケットが形成されることもあります。

この状態が続くと、歯の支持組織が破壊されていき、最終的には歯がぐらついて抜けることもあります。

2.3 口臭の原因

歯茎の下にたまった縁下歯石は、細菌の温床となります。

これらの細菌が分解する際に悪臭を放つことがあり、その結果、口臭が強くなることがあります。

歯石の取り除きが遅れると、口臭がさらに悪化し、日常生活に支障をきたすことがあります。

---

3. 縁下歯石の対処法

縁下歯石の対処法は、歯科医院での専門的な治療が中心となります。

ここでは、縁下歯石の取り除き方法や予防法について詳しく説明します。

3.1 歯科医院での治療

縁下歯石は自宅でのブラッシングや歯間ブラシでは取り除くことができません。専門的な器具と技術を使って除去する必要があります。

3.1.1 スケーリング（歯石除去）

スケーリングは、歯科医院で行われる歯石除去の手法で、歯石を機械や手動のスケーラーを使って取り除く方法です。

歯茎の下に隠れている縁下歯石もスケーリングで取り除くことができます。

スケーリングは、通常、歯科衛生士や歯科医師が行います。

3.1.2 ルートプレーニング

ルートプレーニングは、歯の根の表面に付着した歯石や汚れを取り除き、滑らかにする治療です。

特に歯茎の中に隠れている縁下歯石を取り除くために有効な手法であり、歯の根にしっかりと密着している歯石も除去できます。

ルートプレーニングにより、歯茎の健康が回復し、歯周病の進行を防ぐことができます。

3.2 定期的なチェックとクリーニング

縁下歯石が形成される前に、定期的に歯科医院でチェックを受け、クリーニングを行うことが予防に繋がります。

歯科医院での定期的なスケーリングや歯のクリーニングは、歯石の蓄積を防ぎ、歯周病や虫歯を予防するために非常に効果的です。

3.3 自宅での予防

縁下歯石を予防するためには、毎日の口腔ケアが欠かせません。

正しい歯磨きの習慣を身につけ、歯垢をしっかりと取り除くことが大切です。

また、歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯と歯の間もしっかりと掃除することが重要です。

4. 結論

縁下歯石は、歯茎の下に隠れており、通常は自分で取り除くことができませんが、歯周病や口臭の原因となり、歯の健康に悪影響を与えることがあります。

歯科医院での定期的なチェックとスケーリング、ルートプレーニングを受けることで、縁下歯石を効果的に取り除き、予防することができます。

日々の口腔ケアも非常に重要であり、歯石の蓄積を防ぐために正しい歯磨き習慣を身につけることが大切です。