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しらやま歯科クリニック

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(第3回) 「口腔機能低下症とは?見逃してはいけないサイン」

こんにちは。兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。

前回は「介護職・家族ができる日常の口腔ケア方法」についてお話ししました。
今回はもう一歩踏み込んで、**「口腔機能低下症(こうくうきのうていかしょう)」**という言葉を、やさしく説明していきます。

少し難しそうな名前ですが、
実は、身近な高齢者の“ちょっとした変化”に関係していることが多いんです。


■「食べにくい」「話しづらい」は、老化だけじゃない

「最近、食事の時間が長くなった」
「むせることが増えた」
「しゃべるのがおっくうそう」

こうした変化、身近で感じたことはありませんか?

年齢を重ねると筋力が落ちるのと同じように、
口の中の筋肉(舌・唇・ほほ)や感覚も衰えていくことがあります。

その結果、

  • 噛む力が弱くなる

  • 飲み込みがうまくいかない

  • はっきり話せない

  • 食欲が落ちる

といった症状が出てきます。

これが、「口腔機能低下症」です。
つまり、“お口の老化現象”が進んだ状態なのです。


■口腔機能低下症が進むとどうなるの?

口の動きが悪くなると、
食べる力が落ち、栄養が足りなくなっていきます。
そして、体力や免疫力が低下して、
さらに動かなくなる──という“悪循環”が起こります。

最近では、こうした状態を「オーラルフレイル(口の虚弱)」と呼びます。

オーラルフレイルは、

  • 低栄養

  • 筋力の低下

  • 転倒や寝たきり

  • 認知機能の低下

などにもつながることがわかっています。

つまり、「口の機能を守ること」は、
その人らしく生きる力を守ることなのです。


■口腔機能低下症のチェックポイント

こんなサインが出ていないか、ぜひ一度見てみてください。

  • 食事中によくむせるようになった

  • 柔らかいものばかり好むようになった

  • 舌や唇の動きが鈍い

  • 口の中がよく乾く

  • 声が小さくなった

  • 口の中が汚れやすくなった

  • 口臭が強くなった

ひとつでも当てはまったら、
「口の機能が少し弱ってきているかも?」というサインです。


■改善のカギは“動かすこと”

口腔機能低下症の予防・改善には、
**「口の中を動かすこと」**がとても大切です。

たとえば、こんな簡単な体操があります👇

●お口の体操(1日数回でOK)

  • 「パ・タ・カ・ラ」と大きくゆっくり発音してみましょう
     → 舌・唇・頬の筋肉をまんべんなく動かせます

  • 唇を「うー」「いー」と交互に動かす
     → 口角が上がって、表情も明るくなります

  • 舌を左右に動かす、前に出す
     → 飲み込みやすくなるトレーニングです

無理のない範囲で、笑顔でできるくらいがちょうどいいです。
「体操」というより“おしゃべりする前の準備運動”のような感覚で構いません。


■専門家と連携してサポートを

もし「むせる」「飲み込みづらい」といった症状が強い場合は、
歯科でのチェックをおすすめします。

しらやま歯科クリニックでは、
歯科医師と歯科衛生士が訪問し、

  • 嚥下(飲み込み)の評価

  • 口腔機能検査

  • 個別に合った口の体操・食事指導
    などを行っています。

また、必要に応じて医師・言語聴覚士・栄養士と連携しながら、
「食べる力」をチームで支えていきます。


■まとめ:「気づいてあげること」から始まるケア

口腔機能低下症は、痛みがあるわけでもなく、
静かに進んでいくため、気づかれにくい病気です。

でも、毎日の中で
「最近むせるようになったな」
「食事がゆっくりになったな」
そんな小さな変化に気づけたら、
それが何よりの“予防の第一歩”です。

口の健康を守ることは、
「その人の食べる喜び」「会話」「笑顔」を守ること。

しらやま歯科クリニックでは、
介護の現場やご家庭での“気づき”を大切に、
一人ひとりのお口の健康を支えていきます。


🪥 次回予告(第4回)
「訪問歯科ができる口腔ケア支援」
ご自宅や施設で受けられる、専門的な口腔ケアの内容を詳しくお伝えします。

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