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こんにちは。兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
前回は「介護職・家族ができる日常の口腔ケア方法」についてお話ししました。
今回はもう一歩踏み込んで、**「口腔機能低下症(こうくうきのうていかしょう)」**という言葉を、やさしく説明していきます。
少し難しそうな名前ですが、
実は、身近な高齢者の“ちょっとした変化”に関係していることが多いんです。
「最近、食事の時間が長くなった」
「むせることが増えた」
「しゃべるのがおっくうそう」
こうした変化、身近で感じたことはありませんか?
年齢を重ねると筋力が落ちるのと同じように、
口の中の筋肉(舌・唇・ほほ)や感覚も衰えていくことがあります。
その結果、
噛む力が弱くなる
飲み込みがうまくいかない
はっきり話せない
食欲が落ちる
といった症状が出てきます。
これが、「口腔機能低下症」です。
つまり、“お口の老化現象”が進んだ状態なのです。
口の動きが悪くなると、
食べる力が落ち、栄養が足りなくなっていきます。
そして、体力や免疫力が低下して、
さらに動かなくなる──という“悪循環”が起こります。
最近では、こうした状態を「オーラルフレイル(口の虚弱)」と呼びます。
オーラルフレイルは、
低栄養
筋力の低下
転倒や寝たきり
認知機能の低下
などにもつながることがわかっています。
つまり、「口の機能を守ること」は、
その人らしく生きる力を守ることなのです。
こんなサインが出ていないか、ぜひ一度見てみてください。
食事中によくむせるようになった
柔らかいものばかり好むようになった
舌や唇の動きが鈍い
口の中がよく乾く
声が小さくなった
口の中が汚れやすくなった
口臭が強くなった
ひとつでも当てはまったら、
「口の機能が少し弱ってきているかも?」というサインです。
口腔機能低下症の予防・改善には、
**「口の中を動かすこと」**がとても大切です。
たとえば、こんな簡単な体操があります👇
「パ・タ・カ・ラ」と大きくゆっくり発音してみましょう
→ 舌・唇・頬の筋肉をまんべんなく動かせます
唇を「うー」「いー」と交互に動かす
→ 口角が上がって、表情も明るくなります
舌を左右に動かす、前に出す
→ 飲み込みやすくなるトレーニングです
無理のない範囲で、笑顔でできるくらいがちょうどいいです。
「体操」というより“おしゃべりする前の準備運動”のような感覚で構いません。
もし「むせる」「飲み込みづらい」といった症状が強い場合は、
歯科でのチェックをおすすめします。
しらやま歯科クリニックでは、
歯科医師と歯科衛生士が訪問し、
嚥下(飲み込み)の評価
口腔機能検査
個別に合った口の体操・食事指導
などを行っています。
また、必要に応じて医師・言語聴覚士・栄養士と連携しながら、
「食べる力」をチームで支えていきます。
口腔機能低下症は、痛みがあるわけでもなく、
静かに進んでいくため、気づかれにくい病気です。
でも、毎日の中で
「最近むせるようになったな」
「食事がゆっくりになったな」
そんな小さな変化に気づけたら、
それが何よりの“予防の第一歩”です。
口の健康を守ることは、
「その人の食べる喜び」「会話」「笑顔」を守ること。
しらやま歯科クリニックでは、
介護の現場やご家庭での“気づき”を大切に、
一人ひとりのお口の健康を支えていきます。
🪥 次回予告(第4回)
「訪問歯科ができる口腔ケア支援」
ご自宅や施設で受けられる、専門的な口腔ケアの内容を詳しくお伝えします。