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こんにちは。兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
虫歯を治したり、子どもの矯正をしたりしています。
お子さんを見ていて、「なんだかいつもお口が開いている」「寝ているときに口で息をしている」と感じたことはありませんか?
実はそれ、「口呼吸」かもしれません。
呼吸の仕方ひとつで、子どもの健康や歯並び、そして顔の発育にまで影響が出ることがあります。
今回は、「口呼吸」と「鼻呼吸」の違いについて、歯科の視点から詳しくお話しします。
人間が本来行うべき呼吸は「鼻呼吸」です。
鼻は単なる空気の通り道ではなく、体を守る高性能なフィルターの役割をしています。
鼻の中には「鼻毛」や「粘膜」があり、空気中のホコリ・ウイルス・花粉などをキャッチして、体の中に入らないようにしてくれます。
また、鼻を通ることで空気が温められ・加湿されるため、肺にやさしい状態で届けられるのです。
つまり鼻呼吸は、
空気をきれいにする
適度な温度と湿度を保つ
細菌の侵入を防ぐ
という3つの大切な働きを持っています。
特に成長期のお子さんにとって、この「鼻呼吸」は免疫力を支えるためにも欠かせません。
一方で「口呼吸」は、さまざまなトラブルを引き起こします。
一時的な鼻づまりなどで口呼吸になるのは自然なことですが、それが習慣化してしまうのが問題です。
ここからは、口呼吸のデメリットを少し詳しく見てみましょう。
口で息をすると、唾液が乾きやすくなります。
唾液には、細菌を洗い流したり、虫歯の原因となる酸を中和したりする働きがあります。
そのため口の中が乾くと、
🦷 虫歯になりやすい
🦷 歯肉炎が起きやすい
🦷 口臭が強くなる
といったリスクが高まります。
唾液は「天然の歯磨き剤」とも呼ばれるほど大切な存在。
口呼吸は、その唾液の働きを弱めてしまうのです。
口呼吸を続けると、舌の位置が下がり、上あごを広げる力が弱まります。
舌は本来、上あごの内側にぴったりくっついていることで、あごの発育をサポートしています。
しかし舌が下に落ちると、上あごが狭くなり、出っ歯・開咬(前歯が閉じない)・受け口といった歯並びの問題が生じやすくなります。
また、あごが細くなると鼻の通りも悪くなり、さらに口呼吸が強まる…という悪循環が起こります。
鼻呼吸ではフィルター機能により、空気中の細菌やウイルスをブロックできます。
しかし口呼吸では、外気がそのままのどや肺に入ってしまうため、免疫が働きにくくなります。
結果として、
🤧 風邪をひきやすい
🤧 扁桃腺が腫れやすい
🤧 アレルギー性鼻炎が悪化する
といった症状を繰り返すお子さんも少なくありません。
口呼吸を続けると、常に口が開いた状態になり、口周りの筋肉(口輪筋)が弱くなります。
すると、お口ぽかん顔と呼ばれる特徴的な表情になります。
この状態が長く続くと、
・唇が閉じにくくなる
・下あごが後ろに下がる
・頬がたるみやすくなる
といった顔立ちの変化につながることも。
さらに、頭が前に出るような姿勢になり、肩こりや集中力の低下にもつながることが知られています。
子どもが口呼吸になる理由はいくつかあります。
主なものを挙げると、
アレルギー性鼻炎や鼻づまり
扁桃腺やアデノイドの肥大
舌や唇の筋肉の未発達
指しゃぶりやおしゃぶりの長期使用
猫背やうつむき姿勢
こうした要因が重なって、無意識のうちに「口で息をするクセ」がついてしまうのです。
特に最近は、スマートフォンやタブレットを長時間見る姿勢も影響しています。
下を向くことであごが後ろに下がり、自然と口が開きやすくなるのです。
「うちの子、口が開きっぱなしで…」と心配される保護者の方も多いですが、
早めに気づいて対策を始めれば、改善は十分可能です。
口を閉じる筋肉(口輪筋)を意識して使うことが大切です。
「あいうべ体操」や、風船をふくらませる遊び、ストローで飲む練習などは手軽にできるトレーニングです。
背筋をまっすぐにし、頭が前に出すぎないように意識しましょう。
猫背になると、下あごが引っ込み、口が開きやすくなります。
慢性的な鼻炎やアレルギーがある場合は、耳鼻科での治療が必要です。
呼吸を妨げる原因(扁桃肥大・副鼻腔炎など)を取り除くことで、自然と鼻呼吸に戻れることもあります。
口呼吸の背景には、歯並びや舌の位置の問題が隠れていることがあります。
小児歯科や小児矯正で、口やあごの成長を確認しながらサポートすることが重要です。
鼻呼吸ができるようになると、さまざまな良い変化が見られます。
虫歯や歯肉炎になりにくくなる
あごの成長が整い、歯並びが安定する
集中力や睡眠の質が向上する
姿勢が良くなり、表情も明るくなる
呼吸という一見小さなことが、実は子どもの全身の成長と発育を支える基盤になっています。
口呼吸は、単なる「クセ」ではなく、体が出しているサインです。
お口が乾きやすい、いびきをかく、唇が乾くなどの症状がある場合は、
鼻呼吸がうまくできていない可能性があります。
まずは、ご家庭でお子さんの「お口の閉じ方」を観察してみてください。
そして気になる場合は、歯科で一度チェックを受けることをおすすめします。
鼻呼吸を育てることは、きれいな歯並びと健やかな成長を守る第一歩です。
しらやま歯科クリニックでは、呼吸や舌の使い方を含めた“お口の成長サポート”を行っています。
お子さんの未来の笑顔のために、今日からできることを一緒に始めていきましょう😊