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こんにちは。
宝塚市の隣、兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている白山です。
虫歯を治したり、子供の歯を治したり、矯正したりしています。
さて今回は、【人間の合理性】という点について話していこうと思います。
僕たちは医療にかかわるものとして、患者さんに何かしらを説明する瞬間は多々きます。
その中でその説明とともに、何かの決断を患者さんに求めることも多々あります。
これはどの歯科医院のスタッフも首が折れるぐらいうなずいてくれると思います。
問題なのはその時に【人間はあまりにも合理的でない】という点を甘く見積もる人が多すぎるという点です。
簡単に言うと、人間は理屈よりも感情を大切にする瞬間はおおいよということです。
ここまでの文章を読んで、納得してくれる人もいると思いますし、「は…?理屈が全てっしょ!」という理系数字マンもいると思います。
この「理屈VS感情」論争はコンサルをするうえでとても大切な話になりますので、今から解説していきます。
まずはコンサルを行う上で必要なステップを解説します。
1、説明 → 2、クロージングトーク
ここまでに異論はないですよね。
では一つ目の説明に関して考えていきましょう。
説明のステップでは、決断のための材料を渡す工程になります。
つまり、この時点で何かを決定する、ということは本来ないので、説明する側も主観やその人の意見ほぼいりません。
ただただ、事実を情報として伝えていきます。
ここでは結論に至ります。
一般的な営業では、“その商品を買うかどうか”という話になりますが、医療の現場では、“その処置をするかどうか”という決断になります。
例えば、“Aという治療をするかどうか”という“はい or いいえ”の選択もあると思いますし、
“Aという治療とBという治療、どちらを選択するか”という決断もあると思います。
(そもそもその医院で行うのか?という決断もありますが、この話は今回の話とは微妙に論点がずれるので、省きます。)
前回の説明のステップで、おおよその情報を渡していますから、決断する材料は十分なはずです。
人間でなく、機械であれば。
人間はやっぱり感情によって動く生き物です。
考える材料があったからと言って、簡単には決断できません。
そもそも、上記のように複数個、選択肢を用意しているということは、“どちらも同じぐらい優秀で、どちらも同じぐらいリスクがある”ということですよね。
リスクばっかりの提案をするはずがありません。
プロでも“どっちがいいかなー”と悩むような選択肢を、「はい、どうぞ!考える材料は渡しましたよね?」といわれても、引くか怒るかの二択でしょう。
でもそういうことが医療の現場ではよく起きています。
例えば歯を抜く時の決断。
医「この歯はレントゲンで見る限り、割れています。割れていると、その部分を完全に接着することはできないので、常にヒビは存在します。
つまりそのヒビからばい菌が入ることを止めることができないので、今の痛みは抜く以外で止めることはできません。」
患「なるほど、今の技術でもヒビを完全に防ぐことはできないのですね。抜かなくてはいけない理由はわかりました。」
医「では、いつ抜くか、予定を立てましょうか。」
患「でも抜きたくなーい!」
医「…」
とてもよくある診療風景です。
これまた、歯科医院のスタッフなら首が取れるぐらいうなずいているでしょう。
もちろんこの患者さんをバカにしているわけではありません。
【人間、こんなもんだよね】ということが言いたいのです。
むしろ、理屈では動くことができない人間の感情の部分も含めたトークが必要です。
では先ほど失敗に至った会話を例に挙げて説明します。
医「この歯はレントゲンで見る限り、割れています。割れていると、その部分を完全に接着することはできないので、常にヒビは存在します。
つまりそのヒビからばい菌が入ることを止めることができないので、今の痛みは抜く以外で止めることはできません。」
患「なるほど、今の技術でもヒビを完全に防ぐことはできないのですね。抜かなくてはいけない理由はわかりました。」
医「大切な歯ですから、抜きたくない気持ちは十二分にわかります。ただ、このままにしておくと確実に大きな痛みが来ます。他の歯を守るためにも、ここは頑張って治療しませんか?」
患「そうですね、では抜く日を決めたいので、抜歯後気を付けたほうが良いことはありますか?」
少し感情を入れ込むことで、ここまで会話がスムーズにいきます。
患者さんも背中を押されたがっている部分は確実にあるので、優しく押してあげましょう。
その押す手は“理屈”ではなくて“感情”ですよ。
感情で人が動くことを『感動』といいます。
論理で人が動く『論動』なんて言葉はありませんよね。
「なんであの人はこんなに説明しているのに決めないんだ!」と怒る前に、そのあなたの説明に感情の余地はあったかを振り返ってみてはいかがでしょうか?