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こんにちは。
兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
虫歯を治したり、子どもの矯正をしたりしています。
昔は笑ったときにキラリと光る「金歯」をよく見かけたものです。
特に中高年の方や、昔から歯の治療をしていた世代の方では、奥歯や前歯に金色のかぶせ物や詰め物が入っているのは珍しくありませんでした。
しかし、最近では街中やテレビでも、金歯を見かける機会はぐっと減っています。
では、なぜ金歯は姿を消しつつあるのでしょうか?
今回は、その背景と理由を詳しく解説します。
「金歯」というと、一見すべてが純金のように思えますが、実際には金合金で作られたかぶせ物や詰め物のことを指します。
一般的には純金ではなく、金に銀や銅、パラジウムなどを混ぜた合金です。
金は歯科材料として非常に優秀で、
腐食しにくい
適度な柔らかさで歯に優しい
適合性が高く、二次虫歯になりにくい
といったメリットがあります。
特に1970〜90年代には、保険外治療の選択肢として広く使われていました。
かつては「金歯=高級」「丈夫で長持ち」というポジティブなイメージがありました。
しかし、時代が進むにつれ「自然な見た目」への関心が高まり、金色よりも白い歯を好む人が増えました。
今では歯科治療でもセラミックやハイブリッドセラミックなど、天然歯に近い色調の素材が人気です。
特に若い世代や人前に出る職業の方は、「口を開けたときに金属が見えるのは避けたい」という傾向があります。
昔は白い詰め物・かぶせ物といえば「プラスチック系(レジン)」が主流で、強度や耐久性に限界がありました。
しかし、近年はオールセラミックやジルコニアといった高強度の白い素材が登場し、奥歯でも十分使えるようになりました。
これにより、金歯の「丈夫さ」というメリットを、白い素材でも得られるようになり、見た目と機能を両立できる選択肢が増えたのです。
金の国際価格は、この20〜30年で大きく上昇しました。
1980年代には1gあたり1,000円台だった金が、2020年代には1gあたり9,000円以上になることもあります。
金歯は保険外治療のため、金価格の高騰はそのまま患者さんの治療費に反映されます。
結果として、「金歯にしたいけど、費用が高すぎる」というケースが増え、選ばれる機会が減ってきました。
金歯は基本的に保険適用外です(奥歯の一部に金銀パラジウム合金を使う保険診療はありますが、純金や高カラットの金合金は対象外)。
そのため、**費用負担の軽い銀歯(保険適用)**か、**見た目の良いセラミック(自費)**に二極化する傾向が強まり、中間的な「金歯」は選ばれにくくなりました。
かつての日本では、金歯はある意味「ステータスシンボル」でもありました。
「丈夫で長持ち」「お金をかけている」という印象を与える一方で、現代ではむしろ「古い治療」「目立つ」というマイナスイメージを持つ人も増えています。
SNSや写真・動画に写る機会が増えた現代では、“目立たない”ことが好まれる時代になったと言えるでしょう。
とはいえ、金歯は完全になくなったわけではありません。
特に歯科医の中には、**「奥歯には金が一番長持ちする」**と考える先生も少なくありません。
金歯のメリットは以下の通りです。
適合精度が非常に高く、二次虫歯になりにくい
噛み合う歯を傷めない
腐食や劣化がほとんどない
20年以上持つことも珍しくない
特に見えにくい奥歯で、かつ強度や長期的な安定性を重視する方には、今でも有力な選択肢です。
もし金歯を検討する場合は、
どの部位に入れるのか(見える位置かどうか)
予算(金価格によって費用は変動)
かみ合わせや歯の状態(歯ぎしりが強い場合なども考慮)
を歯科医とよく相談することが大切です。
金歯を見かけなくなった背景には、
見た目の価値観の変化(白い歯志向)
セラミック技術の進歩
金価格の高騰
保険制度の影響
文化的イメージの変化
といった複合的な理由があります。
しかし、金歯は今でも耐久性・適合性において非常に優れた材料です。
「見た目」よりも「長持ち」を重視するなら、選択肢として検討する価値は十分あります。