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こんにちは。
兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
虫歯を治したり、子どもの矯正をしたりしています。
お子さんとおしゃべりをしていて、
「たまご」が「かまご」や「あまご」に聞こえたり、
「ちいさい」が「ちいしゃい」「しーさい」になったりすることはありませんか?
タ行は一見単純なようで、舌や息のコントロールがとても繊細な音。
特に小さなお子さんや口腔機能が未発達な子にとっては、意外と難関の発音です。
では、なぜタ行が苦手な子がいるのでしょうか?
タ行の音は、舌の先を上の前歯のすぐ後ろの「歯茎(しけい)」という部分に当てて、息を一気に放出することで作られます。
このときのポイントは、
舌の先の正確な位置
舌を一瞬で離すタイミング
息の強さと方向
の3つ。
小さなお子さんは、この舌の先の細かいコントロールがまだ未熟なため、音がずれて別の音になってしまいます。
タ行の中でも「ち」「つ」は、舌の動きに加えて息の摩擦が必要なため、さらに複雑です。
例えば「ち」は、タ行とサ行の中間のような音で、舌の位置や息の出し方が少しでも違うと、「し」や「ちゅ」に近くなってしまいます。
「つ」は、口をすぼめて息を出す動きが加わるため、唇と舌の両方を同時に動かす必要があります。
タ行が苦手な子には、舌の位置の癖や日常の習慣が影響していることもあります。
例えば、
舌が常に前に出ている(舌突出癖)
指しゃぶりや長期間のおしゃぶり使用
口呼吸の習慣
これらは舌のポジションを前に押し出す傾向を作り、正しいタ行の発音を難しくします。
前歯が大きく開いている「開咬」や、上下の前歯が噛み合わない状態だと、舌を正しい位置に置きにくくなります。
その結果、タ行の発音時に舌が隙間から出てしまい、「た」が「さ」に近くなるなどの音の置き換えが起こります。
発音は「口の動き」だけでなく、「耳での聞き分け」にも左右されます。
タ行とサ行、カ行などは音の違いが微妙で、小さなお子さんにとっては聞き分けが難しい場合があります。
もし聞き分けができていないと、自分の発音の誤りにも気づきにくくなります。
3〜5歳の間は、タ行の中でも「ち」「つ」が不安定な子は珍しくありません。
多くは、会話や遊び、食事の経験を通して自然に改善します。
ただし、6〜7歳を過ぎても明確な改善が見られない場合は、言語聴覚士や小児歯科での口腔機能トレーニングが有効です。
おうちでできるタ行の発音サポートには、
鏡を見ながら「た・ち・つ・て・と」をゆっくり発音する
ストローや吹き戻しなどで息を強く出す遊び
舌先を上の歯の裏にタッチするゲーム
などがあります。
ポイントは、「間違いを強く指摘せず、正しい音を楽しくまねる」こと。
発音は練習よりも“遊び”の方が身につきやすいのです。
タ行の発音が苦手な理由は、
舌先の細かいコントロールが必要
「ち」「つ」は特に複雑な動きが必要
舌の癖や口腔習慣、歯並びの影響
耳での聞き分けの未発達
など、いくつもの要因が関わります。
多くは成長とともに改善しますが、長引く場合は専門的なサポートで早期改善が可能です。
お子さんの発音のクセも、成長のストーリーのひとつ。
焦らず見守りながら、少しずつサポートしてあげましょう。