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こんにちは。兵庫県西宮市仁川町で歯医者をしている、しらやま歯科クリニックの白山です。
虫歯を治したり、入れ歯を作ったりと、地域の皆さまのお口の健康を支えています。
今回は「噛むと痛いけれど、虫歯ではない」というお悩みで来院された60代の女性・Aさんのお話です。
年齢とともに変化する“歯ぐき”や“かぶせ物”の関係について、分かりやすく解説していきます。
Aさんは「左の奥歯で噛むとズキッとするんです。でも冷たいものはしみないんです」と来院されました。
見た目では虫歯らしい黒い部分もなく、歯ぐきも一見きれい。レントゲンを撮っても、歯の中や根の先に異常はありません。
しかし、詳しく見てみると——
かぶせ物と歯の間に、わずかな段差がありました。
そして、その歯の周りの歯ぐきは、年齢変化で少しやせており、歯の根っこの一部が露出していたのです。
年齢とともに、歯ぐきは少しずつ下がっていきます。
これは「歯肉退縮(しにくたいしゅく)」と呼ばれる自然な変化で、特に60代以降になると多くの方に見られます。
歯ぐきが下がると、今まで歯ぐきの中に隠れていた“歯の根っこ(象牙質)”が露出します。
この象牙質はエナメル質に比べて柔らかく、外部刺激に敏感です。
といった症状が出やすくなります。
また、歯ぐきが下がることで、かぶせ物と歯の境目が見えるようになる場合もあります。
この「境目」が汚れのたまり場になり、炎症や痛みを起こすこともあります。
Aさんの場合、10年以上前に入れたかぶせ物がそのまま入っていました。
かぶせ物は長年の使用によって、少しずつ劣化したり、接着剤が弱くなったりします。
そこに歯ぐきのやせが加わると、わずかな段差が生まれ、噛んだときの力のバランスが崩れてしまいます。
実はこの「ほんのわずかな段差」でも、歯の根のまわりにある歯根膜(しこんまく)が刺激を受けると、噛むたびにズキッとした痛みを感じることがあります。
これを歯根膜炎と呼びます。
放置していると、炎症が強くなり、夜も痛むようになってしまうこともあります。
Aさんには、かぶせ物を新しく作り直す治療を行いました。
その際、歯ぐきが下がっている部分を考慮し、段差ができにくい形に調整しました。
また、根の表面が露出している部分には、知覚過敏を抑える薬剤を塗布。
ブラッシング方法も、歯ぐきを傷つけない“やさしい磨き方”に変えていただきました。
新しいかぶせ物に変えてからは、噛んだときの痛みもすっかりなくなり、Aさんは笑顔でこう言われました。
「もう噛むのが怖くないです。こんな小さなずれでも痛くなるんですね。」
実はAさんのように、「昔治療した歯が最近また痛む」というケースは、60代以降でとても多いです。
理由はシンプルで——歯は変わらなくても、まわりの環境が変わるからです。
こうした変化が重なることで、「痛み」「違和感」「歯ぐきの腫れ」などが起こります。
しかし、多くの場合は虫歯ではなく、経年変化によるトラブルです。
年齢による変化を完全に止めることはできませんが、進行をゆるやかにすることは可能です。
特に60代以降の方には、以下のポイントを意識していただきたいと思います。
「噛むと痛い=虫歯」とは限りません。
Aさんのように、歯ぐきのやせやかぶせ物のずれなど、年齢による変化が原因のことも多いのです。
しらやま歯科クリニックでは、かぶせ物や噛み合わせのチェックを含めた定期的なメンテナンスを行っています。
「最近、噛むと痛い」「昔治療した歯が気になる」など、ちょっとした違和感でもかまいません。
お気軽にご相談ください。
兵庫県西宮市仁川町
入れ歯・かぶせ物・訪問歯科にも対応しています。
あなたの“噛める笑顔”を、これからも支えていきます。