【第2回】初期虫歯は削らず治せる?最新の考え方
こんにちは。兵庫県西宮市仁川町のしらやま歯科クリニックの白山です。
今回は、「初期虫歯は削らずに治せるの?」という疑問にお答えします。最近の歯科では、状況によっては削らずに回復を促す方針を取ることが増えています。
■ 初期虫歯ってどんな状態?
虫歯は進行度によってC0〜C4に分類されます。C0〜C1の段階は、歯の表面(エナメル質)が白く濁る、またはわずかに溶け始めた状態で、まだ「穴(明らかな欠損)」がないことが特徴です。
この段階では、唾液中のミネラルであるカルシウムやリン酸による再石灰化が期待できるため、適切な管理で自然に修復する可能性があります。
■ 削らずに治せる理由 ― 再石灰化とは
歯は常に「脱灰(溶ける)」と「再石灰化(修復)」を繰り返しています。再石灰化を促進する環境を整えれば、初期のう蝕の進行を止めたり、元の状態に近づけたりできます。
再石灰化を促す主な方法
- フッ素の活用
フッ素はエナメル質を酸に強くし、再石灰化を助けます。市販のフッ素入り歯磨剤に加え、歯科での高濃度フッ素塗布が効果的です。 - 唾液の力を高める
唾液には再石灰化に必要なミネラルが含まれます。よく噛む(キシリトール入りガムの利用も有効)、十分な水分補給、口呼吸を控えるなどで唾液分泌を促しましょう。 - 食生活の見直し
砂糖の摂取頻度を減らす、ダラダラ食べをやめる、食後はうがいや歯磨きを行うといった工夫で口腔内の酸性時間を短くできます。
■ すべての虫歯が削らずに治せるわけではない
重要なのは、虫歯の深さと進行度です。C2(象牙質に達する虫歯)以上では、削って詰める治療が必要になります。また、見た目は軽度に見えても内部で進行している場合もあるため、専門的診断が不可欠です。
当院では、レントゲンや必要に応じて光学的診断器などを用いて、正確な進行度の判定を行います。
■ 当院での初期虫歯への対応
しらやま歯科クリニックでは、「すぐ削る」のではなく、患者さんの状態に合わせた最小限の介入を基本方針としています。主な対応は以下の通りです。
- フッ素塗布(高濃度/定期塗布)
- 生活習慣・食習慣のアドバイス(間食管理・唾液促進法など)
- 定期的な経過観察(写真・レントゲンでの比較)
- 必要時の最小限の修復処置(MI=Minimal Interventionの考え方に基づく)
詳しくは当院の予防歯科ページをご覧ください:
しらやま歯科クリニック|予防歯科のご案内
■ すぐにできるセルフケア(簡易チェック&対策)
初期虫歯の進行を抑えるために、今日からできる習慣をいくつかご紹介します。
- フッ素入り歯磨剤を毎日使う
- 間食の回数を減らす(時間を決めた間食)
- 寝る前は必ず歯磨き+デンタルフロス
- キシリトールガムで唾液を促す
