季節の歯ケア365日〜毎月の健康な笑顔のために〜 第5回「初夏の食欲アップ!酸っぱいものと虫歯の関係」
こんにちは。しらやま歯科クリニックの白山です。
新緑がまぶしく、少しずつ汗ばむ日も増えてきましたね。
5月は「さっぱりしたものが食べたくなる」季節。
梅干しやレモン、酢の物など“酸っぱい食べ物”が恋しくなります。
でも実は、この「酸っぱいもの」、歯の健康と深い関係があるんです。
今回は、初夏に気をつけたい“酸”と虫歯の関係をやさしくご紹介します。
「酸」が歯に与える影響とは?
私たちの歯は、表面がエナメル質という硬い層で守られています。
ところが、酸っぱいものをとると、口の中が酸性に傾き、エナメル質が少しずつ溶けてしまうことがあります。
この現象を「酸蝕(さんしょく)」といいます。
酸蝕は、虫歯菌による“虫歯”とは少し違い、
食べ物や飲み物の酸が直接、歯を傷つけてしまうのです。
- レモン、グレープフルーツなどの柑橘類
- 梅干しやお酢を使った料理
- スポーツドリンク、炭酸飲料
これらを頻繁に摂ると、歯の表面がやわらかくなり、知覚過敏や虫歯の原因になることがあります。
患者さんのエピソード
50代の女性・Mさんは、「健康のために」と毎朝レモン水を飲むのが日課でした。
ところが、しばらくして「冷たいものがしみる」と感じるように。
診察してみると、前歯の表面に酸蝕のサインが見られました。
飲み方をアドバイスし、「ストローを使って歯に当たらないようにする」「飲んだ後はうがいをする」といった工夫を続けていただいたところ、
症状は落ち着き、今では快適に過ごされています。
酸っぱいものを楽しむコツ
1. 食後すぐに歯をみがかない
酸っぱいものを食べた直後は、エナメル質がやわらかくなっています。
すぐに歯ブラシでゴシゴシこすると、表面が削れてしまうことも。
30分ほど時間をおいてから歯みがきするのが理想です。
2. 水やお茶でうがいをする
酸性の飲食後は、口の中を中和するために軽くうがいを。
甘くないお茶や水がおすすめです。
3. ストローを使って飲む
レモン水やスポーツドリンクなどは、ストローを使うと歯に直接当たりにくくなります。
とくに前歯を守る効果があります。
4. ダラダラ飲み・食べを避ける
時間をかけて少しずつ飲むと、口の中が酸性状態のまま長く続いてしまいます。
できるだけ短時間で摂るようにしましょう。
酸蝕を防ぐ“唾液”のチカラ
酸から歯を守る最大の味方が唾液です。
唾液には酸を中和する力があり、歯を再び強くしてくれる働きがあります。
- よく噛んで食べる(唾液を増やす)
- こまめに水分補給をする
- ストレスをためない(唾液量が減ります)
自然の防御力である唾液を味方につけることが、酸蝕対策の基本です。
5月のおすすめケア
- レモン水を飲むときはストロー+うがい
- 食後30分あけてから歯みがき
- 水分補給としっかり咀嚼
- 定期検診で酸蝕チェック
まとめ
酸っぱいものは健康にも良く、食欲を助ける強い味方。
でも、摂り方ひとつで歯を守ることができます。
“うがい・タイミング・ストロー”の3つの工夫で、
初夏も美味しく、健康に過ごしましょう。
次回は6月、「梅雨の時期の口臭対策」をテーマに、
ジメジメした季節にすっきり過ごすヒントをお伝えします。どうぞお楽しみに!
