なぜ高齢者に口腔ケアが必要なのか? 誤嚥性肺炎を防ぐ3つのポイント
こんにちは。西宮市仁川町のしらやま歯科クリニックです。
高齢者の健康を守るうえで、口の中のケアはとても重要です。
「歯磨きくらいで本当に予防になるの?」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、口腔内の細菌が増えると、誤嚥性肺炎や全身の感染症のリスクが高まることが知られています。
◆実際にあったケース:80代女性・Sさんの体験
Sさんは一人暮らしで、訪問介護を受けていました。
ある日、せき込みやすくなったとのことでケアマネジャーさんが当院に相談されました。
診察すると、歯と歯ぐきの間に歯垢が多く残っており、入れ歯も清掃不足でした。
結果的に、口の中の細菌が肺に入りやすくなっていたのです。
清掃指導と歯科衛生士による訪問ケアを開始したところ、
咳の頻度が減り、誤嚥性肺炎の発症も防ぐことができました。
口腔ケアが高齢者の健康維持に直結する、実例のひとつです。
◆誤嚥性肺炎を防ぐ3つのポイント
ケアマネジャーさんが押さえておくべき、口腔ケアの3つのポイントをご紹介します。
- 口腔内の清掃:毎日の歯磨きと入れ歯洗浄
食べかすや歯垢には細菌がたくさん潜んでいます。
歯ブラシや歯間ブラシ、入れ歯用ブラシでしっかり清掃することが、最も基本で重要です。 - 口腔内の潤いを保つ:ドライマウス対策
高齢者は唾液が減りやすく、口が乾くと細菌が増えやすくなります。
水分補給や保湿ジェル、うがいで唾液の機能をサポートしましょう。 - 嚥下機能の維持:姿勢・咀嚼・嚥下運動
食事中の姿勢や口の運動は、誤嚥防止に直結します。
嚥下体操や舌・口唇の運動を日常に取り入れることが推奨されます。
◆ケアマネが知っておくと便利なポイント
- 口腔内の状態が悪化していると、誤嚥性肺炎のリスクが上がる
- 入れ歯や歯の清掃状況、唾液の量、咀嚼や嚥下の様子を観察するだけでも情報提供になる
- 異常があれば、早めに歯科への連携を行うことで大きなトラブルを防げる
◆訪問歯科でできること
通院が困難な方でも、訪問歯科なら次のようなケアが可能です。
- 歯科衛生士による口腔清掃・歯石除去
- 入れ歯の調整・清掃指導
- 嚥下体操の指導や口腔筋機能の評価
- 口腔ケアの継続的なフォローアップ
ケアマネジャーさんが「訪問歯科を活用したい」と考えたとき、
患者さんの状態を具体的に伝えられると、スムーズに連携できます。
◆まとめ
高齢者にとって口腔ケアは、単なる「歯を守る」だけでなく、全身の健康、生活の質、誤嚥性肺炎予防に直結します。
ケアマネジャーさんが口腔ケアの重要性を理解し、観察・連携できることは、患者さんの健康維持に大きく役立ちます。
訪問歯科と連携することで、家庭や施設でも安心して口腔ケアを続けられます。
次回は、シリーズ第2回として、「食べる力を守る!オーラルフレイルを見逃さないコツ」をお届けします。
高齢者の生活機能維持に直結する、実践的なポイントを紹介予定です。
ケアマネジャーさんと歯科が連携して、高齢者の「食べる力」と「健康」を守るお手伝いをしていきましょう🦷✨
