口の乾き(ドライマウス)対策で、食事も会話も快適に!
こんにちは。西宮市仁川町のしらやま歯科クリニックです。
高齢者の方の「口が乾く」「飲み込みにくい」という訴えは、日常のケアに大きく影響します。
これらの症状はドライマウス(口腔乾燥症)と呼ばれ、放置すると食事・会話・誤嚥リスクなどに大きく関わります。
◆実例:82歳女性・Sさんのケース
Sさんは要介護1で、訪問介護を利用。最近「口の中がヒリヒリする」「食べ物が飲み込みにくい」と訴えていました。
ケアマネさんから訪問歯科に相談があり、診察すると口腔内が非常に乾燥しており、舌のひび割れや粘膜の荒れが見られました。
歯科衛生士が保湿剤の使用方法を指導し、飲み込みやすい水分摂取の仕方をアドバイス。
1〜2週間で痛みが減少し、Sさんの食事量も改善しました。
◆ドライマウスが起こる主な原因
- 加齢による唾液分泌の低下
- 服薬の副作用(降圧剤・抗うつ薬・睡眠薬など)
- 口呼吸(鼻詰まりや義歯の不具合が原因)
- 糖尿病・脱水
- 口腔筋の低下(オーラルフレイル)
◆ドライマウスを放置するとどうなる?
- 食べ物が飲み込みにくい → 誤嚥性肺炎のリスク増加
- 舌・粘膜が傷つく → 口内炎や痛み
- 唾液の抗菌作用が低下 → むし歯・歯周病が悪化
- 入れ歯が安定しない → 食事量の減少・低栄養
◆ケアマネ・介護スタッフが実践できる対策
- こまめな水分補給:一度に多く飲むより「ちょこちょこ飲み」が効果的。
- 保湿剤の活用:ジェルタイプ・スプレータイプなどを状況に合わせて使用。
- 口腔マッサージ:頬の内側や唾液腺を優しく刺激して唾液を促す。
- 入れ歯のフィット確認:乾燥でズレやすくなるため調整が重要。
- 鼻呼吸の促進:寝る前の保湿、環境整備。
◆唾液腺マッサージの簡単手順
特に効果のある3つの唾液腺を刺激します。
- 耳下腺:耳の前を円を描くようにマッサージ
- 顎下腺:あご下を指先で優しく押す
- 舌下腺:舌の裏側の両脇を外から軽く押す
◆訪問歯科でできるドライマウス管理
- 口腔内の清掃・保湿指導
- 唾液腺刺激のトレーニング
- 入れ歯の調整や修理
- 薬剤性ドライマウスの場合、医科との連携提案
- 口腔機能低下症の評価
◆ケアマネが気づくべきサイン
- 会話時に舌が乾いて白く見える
- 食事が進まない、固いものを避ける
- 水分をしょっちゅう欲しがる
- 入れ歯を痛がる・外しがち
- 口臭の増加
◆まとめ
ドライマウスは「高齢者によくあること」ではなく、
誤嚥・低栄養・歯周病悪化につながる、見逃せないサインです。
ケアマネジャーや介護スタッフが早期に気づき、訪問歯科と連携することで、
生活の質(QOL)は大きく改善します。
次回の第5回は、「噛む力の低下(オーラルフレイル)を防ぐ方法」を取り上げます。
日常の小さな変化を見逃さず、みんなで高齢者の口腔機能を守りましょう🦷✨
