噛む力の低下(オーラルフレイル)を防ごう! ― 食べる力は健康寿命をのばす力 ―
こんにちは。西宮市仁川町のしらやま歯科クリニックです。
高齢者の健康でとても大切なのが、「噛む」「飲み込む」「話す」といったお口の機能。
これらが少しずつ弱っていく状態をオーラルフレイルと呼びます。
「最近食べる量が減った」
「むせることが増えた」
「会話が減った」
これらの変化は、実は全身の健康にも深く関係しています。
今回は、ケアマネジャーさんや介護スタッフが知っておくと非常に役立つ
オーラルフレイルの見つけ方・対処法・訪問歯科との連携について解説します。
◆実例:86歳男性・Kさんのケース
Kさんは独居で要介護2。訪問介護のヘルパーさんから
「以前より軟らかいものしか食べなくなった」
「会話が減って発音がはっきりしない」
という相談がケアマネへ入りました。
訪問歯科で診ると、噛む筋肉の衰え、舌の動きの低下、入れ歯の不適合があり、
オーラルフレイルが進行している状態でした。
口腔機能トレーニングと入れ歯調整を継続することで、数ヶ月で食事量が増え、
生活リズムにも元気が戻りました。
◆オーラルフレイルが起こる理由
- 加齢による筋力低下(噛む筋・舌筋)
- 歯の本数の減少
- 合わない入れ歯
- 食べる機会の減少(独居・食事形態の単調化)
- 誤嚥への恐怖で食べにくくなる
- 薬による口の乾燥で噛みにくい・飲み込みにくい
◆オーラルフレイルを放置すると…
噛む力の低下は、お口の問題だけで終わりません。
- 食事量が減り → 低栄養・体重減少
- 筋力低下 → 転倒リスクの増加
- 会話の減少 → 認知機能低下
- 噛む刺激の不足 → 認知症リスク増加
- むせる → 誤嚥性肺炎のリスク上昇
◆ケアマネ・介護スタッフが早期に気づけるポイント
- 固いものを避けるようになった
- 食事に時間がかかる
- むせる回数が増えた
- 会話が減った・声が弱くなった
- 舌が動きにくい、舌苔が多い
- 入れ歯を外している時間が長い
◆家庭でできる簡単口腔機能トレーニング
① あいうべ体操
・「あー」「いー」「うー」「べー」を大きくゆっくり10回
→ 舌と頬の筋力アップ、唾液分泌にも◎
② 舌ならし運動
・舌を前に突き出す
・左右にゆっくり動かす
・上あご・下あごに舌をつける
→ 飲み込みに使う筋肉が鍛えられます
③ 咬筋マッサージ
・頬の横を指で円を描くようにマッサージ
→ 噛む筋肉をゆるめて使いやすくする
④ 唇のストレッチ
・口をすぼめる
・横に広げる
・「ぱっぱっぱっ」と軽く音を出す
→ 食べこぼし防止と発声の向上に役立つ
◆訪問歯科でできるオーラルフレイル対策
- 口腔機能低下症の評価(口腔機能検査)
- 入れ歯の調整・新製作
- 嚥下機能のチェックと訓練
- 個別のトレーニングメニュー作成
- 栄養面のアドバイス(噛みやすい献立)
- 医科との連携(低栄養・脱水リスク)
◆ケアマネができるサポート
- 食事形態の見直し:軟食だけに偏らないようバランスを調整
- 食事姿勢の確認:顎を引いた姿勢が誤嚥予防になります
- 会話量を増やすケア:話すことも口腔筋トレの一部
- 定期歯科受診・訪問歯科の導入
- 家族への「オーラルフレイル予防」の説明
◆まとめ
オーラルフレイルは、
「早めに気づく → 対策する」で大きく改善できます。
食べる力は、高齢者の生活の質(QOL)を支える重要な能力。
噛む力が戻ると、栄養状態が改善し、体力も戻り、表情まで豊かになります。
私たちしらやま歯科クリニックは、訪問歯科を通して、
一人ひとりのお口の状態に合わせたトレーニングや入れ歯調整をサポートしています。
気になる兆候があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
次回は新シリーズのご提案も可能ですので、続けて制作してまいりましょう🦷✨
