はじめに

「矯正って、いつ始めればいいんですか？」「まだ小さいけど様子見で大丈夫？」という質問をよくいただきます。結論としては、小児矯正は“早めに相談”することが重要です。以下で理由を分かりやすく説明します。

1. 小児矯正の最大の特徴：成長そのものを利用できる

大人の矯正が主に「歯を移動させる」治療であるのに対し、小児矯正（Ⅰ期治療）はあごの成長を誘導できる点が大きな違いです。つまり「歯を並べる場所（スペース）を作る」治療が可能になります。

2. 6〜10歳がゴールデンタイムと言われる理由

あごの成長がもっとも活発な時期があり、特に上あごは早めに変化しやすいため、6〜10歳の間に介入することで幅を広げたり前後のバランスを整えたりしやすいのです。これがその後の歯並びの土台を作ります。

3. 早めの小児矯正がもたらす5つのメリット

① 永久歯を抜かずに済む可能性が高くなる

スペースを確保できるため、将来的に抜歯を避けられる確率が上がります。

② 見た目の骨格的問題を早期に予防できる

出っ歯・受け口・顔の左右差などは、大人になってからだと外科を伴うケースもありますが、早期に誘導すれば自然な形へ整いやすくなります。

③ コンプレックスを抱えずにすむ

思春期前に治療を進められれば、心理的な負担（歯並びでからかわれる等）を避けやすくなります。

④ 噛む・話す・呼吸する機能が整いやすい

小児矯正は見た目だけでなく、噛み合わせや発音、舌の位置、口呼吸などお口の機能改善にもつながります。全身の成長にも良い影響を与えることがあります。

⑤ Ⅱ期治療が短く、負担が軽く済む

Ⅰ期で土台を整えることで、永久歯が揃ってから行うワイヤー治療の期間や負担が軽減され、結果として総費用が抑えられることもあります。

4. 「様子見でいいの？」の判断

「まだ生え変わっていないから大丈夫」と考えがちですが、6〜9歳頃に現れる異変はそのまま放置すると悪化する傾向があります。例えば：ガタガタ、受け口、出っ歯、口呼吸、指しゃぶりや舌癖などのサインは要注意です。

5. 相談は『治療を押し付ける』ためではない

早めに相談に来られる保護者の中には、実際は「今は治療しなくて大丈夫ですよ」というケースも多くあります。重要なのは、成長のタイミングやリスク、癖の有無などを専門家がチェックして適切な見守りやタイミングの提案をすることです。

6. まとめ：早く始めることより“早く気づく”ことが重要

小児矯正で最も大切なのは、問題を早期に発見することです。早めに気づくことで必要な治療の判断がしやすくなり、結果的にお子さんの負担を減らせます。

「うちの子はどうしたらいい？」と迷ったら、ご相談ください。しらやま歯科クリニックではお子さんの歯並び相談を随時受け付けています。

次回（第2回）は「矯正した方がいいサイン12選」を予定しています。保護者が自宅でチェックしやすいポイントをわかりやすく解説します。