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誤嚥性肺炎を防ぐカギは“お口のケア”。訪問歯科でできる予防とは?

【第20回】誤嚥性肺炎を防ぐカギは“お口のケア”。訪問歯科でできる予防とは?

こんにちは。兵庫県西宮市仁川町の「しらやま歯科クリニック」、院長の白山です。
今回のテーマは、訪問歯科でとてもご相談の多い「誤嚥性肺炎の予防」についてです。

誤嚥性肺炎は、高齢者の入院理由で常に上位に入る疾患です。
「食事中にむせる」「飲み込みが弱くなった」などの変化がある場合、口の中の細菌が気管に入り込み、肺炎を引き起こすリスクが高まります。

訪問歯科では、ただ「歯を診る」だけでなく、全身の健康を守るための口腔ケアが非常に重要な役割を担います。今回は、現場で行っている専門的ケアと、ご家族ができる日々の予防法をまとめました。

◆ なぜ“誤嚥性肺炎”は起きるの?

誤嚥性肺炎のきっかけは、「口の中の細菌が増えること」と、「飲み込みの機能が弱くなること(嚥下機能低下)」の2つです。

  • ・歯磨きがうまくできず、細菌が増えてしまう
  • ・舌や頬の筋力が弱くなり、食べ物が残りやすくなる
  • ・唾液が減り、細菌が繁殖しやすくなる
  • ・寝たきりで、口が開いたままになり乾燥する

こうした状態が続くと、食事のとき・寝ているときに細菌が気管へ入りやすくなり、肺炎を誘発します。

◆ 訪問歯科で行う「誤嚥性肺炎を防ぐケア」

① プロによる口腔清掃

歯科衛生士が専用の器具を使って、歯・歯ぐき・舌の汚れを丁寧に除去します。
特に舌の汚れ(舌苔)は細菌の巣になりやすく、誤嚥性肺炎と強く関連しています。
ご自身やご家族では取り切れない部分まできれいにすることで、肺炎リスクが下がります。

② 嚥下機能の評価

「飲み込み」「咳反射」「姿勢」などを確認し、現在の嚥下状態を把握します。
状態に応じて、食事形態の工夫や姿勢調整までアドバイスします。

③ 口腔機能を高めるトレーニング

むせやすい方には、お口の筋力を高める“オーラルリハビリ”を行います。
舌の動きを鍛えたり、頬や唇を動かしたりすることで、飲み込みやすくなります。

④ 口の乾燥(ドライマウス)への対策

唾液が少ないと細菌が繁殖しやすくなり、誤嚥性肺炎のリスクが急上昇します。
保湿ジェルや保湿スプレーを使い、口の中が乾かないように整えます。

⑤ ご家族への「自宅でできるケア」の指導

毎日のホームケアは、訪問歯科のケアと同じくらい大切です。
訪問時に、以下のようなポイントを丁寧にお伝えします。

  • ・食後の口腔ケアの方法
  • ・舌や頬に食べ物が残りやすい場合の取り方
  • ・むせやすいときの食事姿勢
  • ・口の乾燥を防ぐ道具の選び方

「どう磨けばいいのかわからない」というご家族も多いですが、実演しながら、すぐに再現できるようにサポートしています。

◆ ケース紹介:ケアでむせが減ったAさん(80代)

1日2回の口腔ケアと、週1回の訪問による舌清掃・嚥下トレーニングを続けたところ、
「むせる回数が減り、食事量が増えた」とご家族から喜びの声をいただきました。
特に、舌のケアと口の保湿は、飲み込みに大きく影響します。

◆ まとめ:誤嚥性肺炎は「口のケア」で予防できる

誤嚥性肺炎は、お口のケアをしっかり行うことでリスクを大きく下げられる病気です。
訪問歯科なら、歯科医院に行けない方でも安心して取り組むことができます。

しらやま歯科クリニックでは、誤嚥性肺炎の予防を目的とした専門的な訪問ケアを行っています。
「最近むせやすい」「飲み込みが心配」「食事量が減った」などのサインがあれば、お早めにご相談ください。

次回は第21回、「訪問歯科での定期管理の重要性」を予定しています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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